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【スピンオフ】ワケあり医者は狼青年を大事にしたい/5 狼と医者のつがい

 先生の長い指が、僕のお腹の奥を撫でている。きっといつもどおり優しい手つきなんだろうけど、クチャクチャって音が聞こえるたびに恥ずかしくて手つきのことなんて考えられなかった。  だって、この音は潤滑剤だけじゃなく、僕の中から出ている音でもあるってわかったから。 「俺を受け入れるために、……ほらな、こうして体液が分泌されるようになったんだよ」  お腹の中を弄っていた先生の指が抜けるとき、「んぁ」なんていやらしい声が出てしまった。それが恥ずかしくて視線をウロウロさせていたら、目の前に濡れた先生の長い指が現れた。しかも、見せつけるようにしながら「おまえ、濡れやすい体になったみたいだぞ」なんて言うから……。 「せ、先生のばか……」 「馬鹿でけっこう。俺はトウカ相手には馬鹿みたいに興奮する雄なんだよ」 「……っ、もぅ、先生っ」  先生はいつもこうだ。僕の体を優しく弄りながら、ふざけたことやいやらしいことを平気で言う。それがすごく恥ずかしくて困るから、僕はいつもちょっと怒ってしまうんだ。  そうしたら先生の目がもっと笑って……、って、今日の先生、いつもと違う。いつもは真っ赤になった僕を見てニヤニヤしているのに、僕に覆い被さっている先生の目はギラギラしていて、……そうだ、まるで狼みたいだ。  初めて見るジリジリした先生の黒い目に、お腹の奥がきゅんとした。そのせいでお尻からトロッとしたものが溢れてしまった気がする。それが僕のお尻の下でへたってしまっている尻尾に垂れて、絶対に毛がべっとりになった。  想像するだけで恥ずかしくてたまらないのに、先生が「膝を抱えるようにしてから、足を開いて」って言うから隠すこともできない。僕の勃っている性器も弄られているお尻も濡れた尻尾も、全部全部、先生に見られている。 「そろそろ良さそうだな」 「んぅ、」  先生の指がお尻の穴を撫でるから、またいやらしい声が出てしまった。 「これだけ濡れれば、太いのも問題なく挿入(はい)るってもんだ」 「先生……?」  先生の不穏な言葉の意味は、直後に自分の体でしっかり理解させられた。 「せん、せ……っ、も、くるし、」 「大丈夫、こんだけ濡れてりゃ切れたりはしねぇよ」 「せんせ……っ」 「それに、俺は絶対におまえを傷つけたりしないからな」  卑怯だ。そんなこと言われたら、どんなにお腹が苦しくても嫌だなんて言えなくなってしまう。  僕の小柄なお腹では、先生の大きすぎる性器を受け入れるのは無謀だったんだと思った。そもそも僕が手で触っていたときは、ここまで大きくならなかったじゃないか。それなのに僕に挿れるときだけ、こんな……、両手じゃないとちゃんと握れないくらい大きくするなんて、卑怯だ。  そんなふうに大きくした性器を感じるたびに、僕に興奮しているんだって言われているみたいな気がした。それはうれしいことだけど、やっぱり恥ずかしくなる。どうしていいのかわからなくて、ただ「先生」ばかりを連呼してしまう。 「あー、トウカの中、やべぇくらい気持ちいいなぁ」 「ひっ、ぁ、先生……っ」  極太な先生の性器を迎え入れるのは本当に大変で、先端の張り出した部分が入りきるまで苦しくて泣いてしまいそうだった。先端がズルッと入った瞬間、苦しいよりもうれしさが勝って、結局泣いてしまったんだけど。 「太いから、ずっといいところが擦れるだろ? それに指と同じで普通の人より長いから、奥まで突いてやれるぞっ、……と」 「はぅ……っ」  ズンとお腹の奥を突かれて、背中が思い切り反り返った。あんなに苦しかったのに、いつの間にか苦しいものはすべて気持ちいいにすり替わっていた。  背中が不自然にベッドから浮いているのに、僕の腰をしっかり掴んでいる先生は構わずズンズン奥を突いてくる。そのたびに感じすぎるところが擦られて、もう声なんて出ないくらい気持ちがよかった。  指で撫でたり押されたりするより、ずっと気持ちがいい。穴の近くだけじゃなく、指で触られたことのなかった奥のほうまですごく気持ちがいい。  気持ちいい、気持ちいい。頭が気持ちいいでいっぱいになってきたからか、僕のお腹の奥からトロトロしたものがたくさん溢れ出した。それが潤滑剤と混ざり合ってお尻から漏れていることも、小刻みに揺れてしまう尻尾を濡らしていることもちゃんとわかっている。  それがすごく恥ずかしい。でも、気持ちがいいことに支配されてしまった僕は、ただ気持ちいいということを先生に伝えることしかできなくなっていた。 「せんせ、気持ちい、気持ちいぃ、」 「よしよし、えらいな。気持ちいいってちゃんと言えて、トウカはえらい」  優しい先生の声に、ほっぺたがふにゃりと緩んだ。  先生が治療のために初めて僕の体を触ったとき、痛いことも気持ち悪いことも、逆に気持ちいいこともちゃんと口に出すんだって言われた。そのあとも、ずっと同じことを言われ続けた。  おかげで、いまみたいに頭がぼんやりしていても感じていることをちゃんと口に出すようになってしまった。治療じゃなくても、たとえば触りっこのときだって毎回ちゃんと口に出していた。  僕が気持ちいいって言うと、先生はうれしそうな顔をする。そうして「トウカが気持ちいいと、俺も気持ちいい」って教えてくれる。だから、僕は気持ちがいいんだってことを、たくさん先生に知ってほしいと思うようにもなった。  しかめっ面みたいになっているいまだって、本当は気持ちがいいんだってわかっている。出したいくらい気持ちがいいのに、僕をもっと気持ちよくしようとして我慢している。  そんな顔をされたら、僕だって先生にもっと気持ちよくなってほしくなるって、先生はわかっているのかな。僕と同じくらい、ううん、それよりもっと気持ちよくなってほしくて、お腹の奥がきゅんとしてしまう。 「先生、ラスキエンテ先生も、もっと、気持ちよく、なって……?」  お腹に指が入っているとき、キュッとしたら気持ちがいいことを教えてもらった。キュッとしたら指が気持ちいいところに当たってゾクゾクした。そのとき、「こんなふうにしゃぶられたらたまんねぇだろうなぁ」とつぶやいたことを覚えている。  だから、先生の性器を握りしめるように、お腹にキュッと力を込めた。 「ぅ、……っ」  先生が眉をひそめながら、いやらしいため息を漏らした。やっぱり、こうしたら先生も気持ちいいんだ。……うれしい。先生が気持ちよくなってくれるのが、僕はとてもうれしい。 「ったく、初めてだってぇのに尻穴締めるとか、やりやがったな」 「だって、先生に、気持ちよくなって、ほしぃから、……ふぁ、ぁ、ぁン!」  奥から少し引き抜いた太い性器の先端で、感じすぎるところをグリッと押し潰された。それだけで腰がビクッと震えて、そのせいで太い先生の先端が抜けてしまいそうになる。  慌てて「抜かないで」って言ったら、ニヤッて笑った先生が「もうお腹いっぱいって泣き出すくらい、突っ込んでやるよ」なんて言うから……。  そのときの先生の顔が狼みたいに見えて、僕はドキドキが止まらなくなった。   ▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽ 「ふぁぅ、せんせ、もぅむり、……ぃ、」 「ははっ、泣きながら無理って言わせたいと思ってたが、想像以上にくっそ可愛いな」  涙を流しながら可愛く「無理」って言う顔に興奮して、うっかりまた腹の奥に突っ込んでしまった。  すっかり蕩けたトウカの体はそれだけで気持ちがいいようで、全身をビクビク震わせながら腹の中だけでイッている。まだ俺の子種を注いでねぇっていうのに、トウカの腹ん中はすっかりグッチャグチャだ。こんなに濡れるなんて、娼婦にもいなかったってぇのになぁ。 「それだけ敏感なのか、狼特有のことなのか……」  どうせなら、俺を好きすぎて感じまくってくれてりゃ、言うことないんだが。  そう思いながら腰をぐいっと回し、先端で腹の奥をグリグリと擦る。同時にツンツンになった乳首を指で摘んだりこねたりすれば、ヒンヒン泣きながら「気持ちいい」を連呼した。  トウカの薄い腹が波打つのがハタから見てもよくわかる。こりゃあつぎの絶頂も近いなと思い、さてどっちに出そうかと考えた。  トウカは雄だから、俺が本来出す場所は腹の中しかない。あとは手前か奥かの違いだけで、どこで出しても匂い付けにはなるし、出した後は掻き出す必要がある。  こればっかりは人だろうが狼だろうが同じで、子種を腹ん中に入れたままにしておくと腹を下す場合が多いからだ。淫液がこれだけ出ていれば掻き出さなくても腹を壊したりはしないだろうが、初めてのときは念を入れておくに越したことはない。  しかし、いまのトウカには掻き出さなくてもいい胎がある。その中に出せば腹を下すことは絶対にない。腹から胎へ別れる膣のような部分に性器を突っ込み、胎の中に出す。そうすれば腹のほうに溢れ出ることはないからだ。 (しかし、トウカの胎はできたばっかりだしなぁ)  たとえ準備が整ったとはいえ、未熟なそこにいきなり大量の子種を吐き出すのは医者としていただけない。それに狼にできた胎がどうなっているのかわからないんだから、じっくり様子を見たほうがいいだろう。医者として、それにつがいとして、それはよくわかっている。  ……なのに、俺の頭と勃起しまくった性器は、胎のほうに出してぇなんて我儘を思ってしまっていた。 (焦る必要はねぇってのに) 「せん、せぃ……、ぼく、もぅいっちゃぃ、そうです……っ」  トウカの甘く蕩けた声にハッとした。腕の中に囲い込んだトウカを見れば、顔を真っ赤にしてハクハクと必死に呼吸をしている。細い指先で俺の肩を掴み、俺の腕に押し広げられた股が小刻みに震えているのがわかった。  そんな状態でも、俺が「イッていいぞ」と言わないから必死に我慢しているのだろう。そうするように教えてきたからだが、そうでもしないとすぐにイッてヘロヘロになるんだから仕方がない。 「最初は予定どおりにするか。……ま、胎のほうはじっくりでもいいしな」  俺はトウカを大事にしたい。だから胎のほうに種つけするのは、じっくりと俺との交わりに慣らしてからだ。 (それにしても、ヤッてる最中にどこに出すか考えることになるなんてなぁ)  思わず笑ってしまった。すると小さく震えた俺の腰の動きにもトウカは感じてしまうらしく、泣きながら「もうむり、イッちゃぅ……っ」なんてヤラシイ声を出した。おかげでさらに泣かせたくなってしまい、腹の奥、曲がり角の中に先端をちょっと挿れてしまっていた。初めてでそこまでスルつもりはなかったってぇのに。 「せん、っせ……! おく、きもちいぃ、から……っ、だめ、イッちゃぅ、もう、イッちゃ、せんせ、もぅ、イッてい……? イッてい……ぃあっ! ひ、ひんっ、ぁう、ぅ、はぅっ!」  あー、よくぞ今日までしっかり教えてきたな、俺。半年間の俺を褒めてやりたい。  気持ちいいこともイきそうなときも、全部ちゃんと俺に言うように教えておいて本当によかった。おかげで俺の性器はかつてないほどバッキバキだし、こりゃあ確実に(コブ)が膨らむぞ。  娼館では一度も膨れなかったのに、さすがつがいだ。トウカ相手なら何度でも膨らむだろうし、出す量だって過去最大の記録を叩き出せるに違いない。 「よーし、いい子だトウカ。じゃあ俺と一緒にイこうな」  そう声をかければ、涙をこぼしながらも必死に俺を見つめるトウカが可愛い口を開いた。 「ラスキエンテ、すき、だいすき、ラス、ラス、すきぃ……っ」 「……ぅぐっ」  顔を見ながら名前を言ってイくように教えたのは俺だ。性器を弄られてイくときも、尻を弄られてイくときも、そうするように教えてきた。そこに「好き」という言葉を加えるようになったのはトウカ自身だ。  そんなふうに必死に見つめられながら名前を呼ばれ、好き好き言われてイかない男は不能に違いない。  俺は思う存分、トウカの腹の奥に子種をぶちまけた。直前にグッと踏ん張って性器を最後まで押し込めなかったのは偉いと褒めてやりたい。だから根元の(コブ)まで挿入(はい)ってしまうこともなく、初めてのトウカを苦しませることもなかったはずだ。 (それにしても根元に(コブ)とか、中途半端に獣の狼らしさが出てるよなぁ)  射精の気持ちよさに浸りながらも、そんなことを考える。  人型狼の性器にはない(コブ)が俺にあるってことは、これもリンゴを使わなかったために起こった影響なのだろう。いままで深く考えることはなかったが、これをトウカのこの小さな穴に押し込むのかと思うと……感慨深い。  そう思った途端にさらに(コブ)が膨らんだ気もするが、俺は見なかったことにした。  こうして俺とトウカは、この日、正式なつがいになった。

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