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第9話
水曜日1限。
今日も安定の後方部右端の席。
「あの……、この前のお礼に、ご飯でも行きませんか?」
「別にお礼言われるようなことは……。
あの後大丈夫でしたか?」
「はい。あれ以来特に何もされてません。」
「よかったです。」
「それでですね、首藤さんが送ってくれたのも、話を途中で切り上げて部屋に連れていってくれたのも、部屋に上がって話聞いてくれたり、首藤さんが帰ってからも何かあれば首藤さんに電話すればいいと思えば怖さも軽減したし……。本当に感謝してるんです。
だから、行きましょう!」
あと不意打ちの頭ポンポンも。
「次は疑問系じゃないんだ……。」
「あ、いや、もちろん首藤さんが嫌でなければですけど。」
「嫌ではないです。」
「ほんとに……?」
「はい。」
「良かった。
何時が都合いいですか?」
「平日はバイトなんで、土日なら。」
「今週の土曜日は?」
「空いてます。」
「じゃあ今週の土曜日でもいいですか?」
「はい。」
「昼と夜だと、どちらが都合いいですか?」
「どっちでも。」
「じゃあ昼間にして、ご飯の後ちょっと街をぶらぶらするのとかは……、なしですか?」
「別にいいですけど。」
「ほんとですかっ?」
「はい。」
「やった。
じゃあ、首藤さんち待ち合わせで!」
「何故?」
「首藤さんの家の方が駅に近いから……?」
「俺がそっち行きますよ。」
「いやいや、そんなの首藤さんに悪いですよ。
それこそ何でですか?」
「天宮さん危機管理能力低すぎて心配なんで。また何があるかわからないし。」
そう言われるとないとも言いきれないし、断りづらい。
けどそんなこと言ってたら、一生首藤さんに傍に居てもらうことになる。
「いやでも、昼間だし、あれからもう1週間経ってるし……。」
「……ならうちのバイト先の喫茶店で。」
首藤さんの家と俺の家の中間くらいにあるから提案としてはわかるけど、結果的に駅に行くから首藤さんからしたら手間なんじゃ……。
けど首藤さんの優しさだし、それを素直に受け入れるのもありなのかな。
「じゃあそれで。よろしくお願いします。」
「はい。」
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