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第15話
「先生この前のお出かけどうだった!?」
首藤宅に入って早々、春夏さんが勢いよく尋ねてきた。
「こんにちは、春夏さん。
楽しかったよ。」
「こんにちは!
お兄ちゃんが誰かと出かけるの久しぶりだから気になるんだけど、どんな感じだった?
お兄ちゃんに何聞いても、何も教えてくれなくて。」
「んー、いつもと変わらない感じだったかな。」
「えー、そうなの?」
「うん。
あ、でも、少しではあったけど、新しく首藤さんのこといくつか教えて貰えたよ。」
「おぉ!さすが先生!
お兄ちゃん、その人に慣れる前に愛想つかされがちだから、先生みたいな人がいてよかった。」
「首藤さんすごくいい人なのに。」
「慣れすぎると、もはやいい人超えて過保護だけどね……。
大丈夫?会う度にあれこれ小言言われない?」
「それは春夏さんが大切だからだよ。
……あ、けど、俺の危機管理能力が低いって家まで送ってくれた。」
「ほーらやっぱり。
お兄ちゃん、既に先生のこと結構好きだと思うんだよねぇ。多分そのうち先生から離れられなくなっちゃうよ。」
「いやいやいや、そんなことないよ。
前よりは少し仲良くなれた気もするけど、それでも俺が一方的に話してる事の方が多いし。」
「いや、クールぶってるけど身内以外とのコミュニケーションの仕方わからないだけで、家ではよく喋るよ。」
確かに首藤さんも家族以外との接し方が分からないと言ってたし、この前春夏さんとは普通に話してた。
「そのうち俺の前でもそうなってくれると嬉しいな。」
「きっとすぐだと思う。
本当に心許しちゃうと多少うざいと思うけど、大目に見てあげてね?先生。」
「そんな首藤さん想像できない。少し楽しみ。」
「……あっ、そうだ。
先生って好きな食べ物とかある?」
「好きな食べ物か。
んー、しいていえば、肉かな。焼肉とか。」
「なるほど。お肉ね!
じゃあ行きたいとこは?」
「それなら、この前テレビで観てから、新しく出来たっていう水族館に行ってみたいなって思ってるよ。」
「先生水族館好きなんだ?」
「そうだね。人が多かったり賑やかなとこが得意じゃないっていうのもあるけど、水族館は結構好きだな。」
「なるほど。よく分かった!」
「よかった(?)」
何がわかったかはよく分からないけど、嬉しそうだからいいかな。
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