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第28話

「すみません、はしゃぎ過ぎてしまって。 首藤さんにも迷惑を……。」 イルカショーをみた後、気持ちが昂ったまま、まだ見てないエリアをひと通り見た。 前半と違って気持ちがふわふわしていて、いつも以上に周りを見てなかったようで、度々首藤さんに助けられた。 「いえ。イルカショーは初めて見ましたが、想像以上にすごくて俺もびっくりしました。だから気持ちが昂るのも分かります。」 「ですよね!すごかったですよね! イルカさんたち可愛いし賢いし、最後の方なんて何故か泣けてきて……。」 「若干うるっときてましたよね。」 「よく見てますね。俺じゃなくてイルカを見る時間だったのに。」 「イルカも見てましたよ。俺も感動しました。 涙は出てきませんでしたが。」 「まあそうですよね。明らかに泣くところではないですもんね。」 「そうかもしれませんが、感性なんて個々で違うし、別にいいと思いますよ。 それに、表情をコロコロ変えてる天宮さんも可愛かったです。」 「……ありがとうございます。」 これもきっと照れたのが顔に出ちゃってるから、首藤さんにまたなんか思われてるんだろうな。 恥ずかしすぎるし、表情見られないようにお面でもつけたい……。 「夜ご飯どうしますか?食べたいものとか。」 そんな俺と違って冷静な首藤さんは、早速次の話題へうつる。 お腹は空いていたし、俺も気持ちを切りかえた。 「なんでもいいですよ。 首藤さんの食べたいものは?」 「焼肉行きませんか?」 「いいですね、焼肉。俺好きです。」 「よかった。じゃあ行きましょうか。 今日は俺の奢りなので、好きなだけ食べてください。」 「いやいや、誕生日の人に奢らせる訳には……!」 「気にしないでください。それに前回約束しましたし、奢らせて下さい。」 確かに、次回は俺がって言ってくれてたけど、そんなところまで覚えてくれてるんだ。 「よく覚えてますね。」 「そうですね。記憶力はいい方かもしれません。」 「今日ばかりは忘れてても良かったのに。」 「奢られるの嫌ですか?」 「嫌っていうか、申し訳ないです。 それに首藤さん誕生日だし……。」 「じゃあ次は天宮さんの誕生日に、天宮さんが奢ってください。」 「そういうことなら、任せてください。」 「はい、お願いします。」 俺がチョロすぎたのか、首藤さんはそう言って軽く笑った。 “次”とか“また”とか大抵は守られない発言な気がするけど、首藤さんならまた次があるような気がして、今日は大人しく奢られることにした。 「今日はよく笑ってくれますね。」 「そうですか? だとすれば、天宮さんと居るのが楽しいからですね。」 「またそういうこと言う。」 「天宮さんは今日はよく照れますね。」 「……気づかれてました?」 「はい。」 「すみません、醜態を……。 あまりにも首藤さんが直球なもので。」 「いえ。可愛いなと思ってました。」 「あー、もう。はい。ありがとうございます。 さぁ!どこのお店に行きますか?俺はこの辺あんまり詳しくないんですが……。」 このままだとずっと醜態を晒してしまうと思って、慌てて話題を変える。 「それなら幾つか候補があるんですが、決められないので選んで貰ってもいいですか?」 「任せてください!」

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