34 / 77

第34話

「天宮さ、首藤さんのこと好きだろ?」 「え、なんで?」 隣に座っている桐谷にまじまじと見つめられると思ったら、急にそんなことを聞かれた。 「度々首藤さんの話をするのは前からだけど、話してる時の顔が最近は若干穏やかというか、楽しそう?」 「そう?」 「そう。 もしかして既に付き合ってるとか?」 「いや、ないない。 それに俺、別に恋愛的な意味で好きとかじゃないと思うんだけど。」 「違うか。 首藤さんが恋人を紹介してきても、その恋人と笑顔で楽しそうに話して、好きって言い合ってても、天宮は微笑ましい顔して、お幸せに〜って言うだけか。」 「何その状況。」 「ん?俺が天宮に彼女紹介した時ってそんな感じじゃなかったっけ?」 「そうだったね。」 言われてみればそうだった。 本当に心の底から桐谷と彼女の幸せを望んだし、桐谷が彼女に見せる顔を見て、好きな人といる時はそんな感じなんだ〜と思った。 けど、それを今、桐谷を首藤さんにかえて想像してみると、なんかちょっと違うっていうか……。 首藤さんが普段あまりニコニコしないからだろうか。 そりゃあ好きな人には好きって言う人だろうけど。 そもそも首藤さんは、誰かに対してデレデレするのかな?全く想像できない。 「何をそんな悩んでんの?」 「いや、首藤さんが桐谷みたいに恋人にデレデレしてるのを想像したら、違和感しかなくて。 首藤さんが普段そういうタイプじゃないからかな?」 「違和感ね。 そうかもなぁ。」 「うん。」 「あれ、天宮なんか機嫌悪い?」 「そんな事ないよ?」 「そう?ならいいけど。」 機嫌は悪くないけど、なんかもやもやして気分は良くない。 首藤さんが桐谷みたいに彼女にデレデレ……。 いや、男の人かもしれないか。 「てかなんで桐谷はなんでそんなこと聞くの?」 「ん?そんなこと?」 「首藤さんが恋人を紹介してきても〜って。」 「なんでだろうね。考えてみて。」 「えぇ。」 教えてくれないのか。 考えてみてと言われても、全く検討もつかない。

ともだちにシェアしよう!