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第34話
「天宮さ、首藤さんのこと好きだろ?」
「え、なんで?」
隣に座っている桐谷にまじまじと見つめられると思ったら、急にそんなことを聞かれた。
「度々首藤さんの話をするのは前からだけど、話してる時の顔が最近は若干穏やかというか、楽しそう?」
「そう?」
「そう。
もしかして既に付き合ってるとか?」
「いや、ないない。
それに俺、別に恋愛的な意味で好きとかじゃないと思うんだけど。」
「違うか。
首藤さんが恋人を紹介してきても、その恋人と笑顔で楽しそうに話して、好きって言い合ってても、天宮は微笑ましい顔して、お幸せに〜って言うだけか。」
「何その状況。」
「ん?俺が天宮に彼女紹介した時ってそんな感じじゃなかったっけ?」
「そうだったね。」
言われてみればそうだった。
本当に心の底から桐谷と彼女の幸せを望んだし、桐谷が彼女に見せる顔を見て、好きな人といる時はそんな感じなんだ〜と思った。
けど、それを今、桐谷を首藤さんにかえて想像してみると、なんかちょっと違うっていうか……。
首藤さんが普段あまりニコニコしないからだろうか。
そりゃあ好きな人には好きって言う人だろうけど。
そもそも首藤さんは、誰かに対してデレデレするのかな?全く想像できない。
「何をそんな悩んでんの?」
「いや、首藤さんが桐谷みたいに恋人にデレデレしてるのを想像したら、違和感しかなくて。
首藤さんが普段そういうタイプじゃないからかな?」
「違和感ね。
そうかもなぁ。」
「うん。」
「あれ、天宮なんか機嫌悪い?」
「そんな事ないよ?」
「そう?ならいいけど。」
機嫌は悪くないけど、なんかもやもやして気分は良くない。
首藤さんが桐谷みたいに彼女にデレデレ……。
いや、男の人かもしれないか。
「てかなんで桐谷はなんでそんなこと聞くの?」
「ん?そんなこと?」
「首藤さんが恋人を紹介してきても〜って。」
「なんでだろうね。考えてみて。」
「えぇ。」
教えてくれないのか。
考えてみてと言われても、全く検討もつかない。
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