39 / 77

第39話

「ただいま。」 「お邪魔します。」 「おかえり!先生いらっしゃい!」 春夏さんが元気よく出迎えてくれて、リビングまで案内してくれる。 「春夏から、先生はお肉が好きだよ〜って聞いたからハンバーグにしてみたんだけど、よかったかな?」 「はい、好きです。ありがとうございます。」 「……ずっと思ってたけど、天宮くんって本当にかっこいいわね。」 「えっ?」 「ハンバーグのことだって分かってるのに、好きですって言われて、思わずきゅんとしちゃったわぁ。」 「母さん。」 「もー、そんなんで嫉妬しないでよ。 そんな調子だと愛想つかされるぞ〜。」 「……それは困る。」 「お兄ちゃんと先生がくっついたらいいな〜とは思ってたけど、改めて考えるとお兄ちゃんに先生はもったいないね。 お兄ちゃん心配性で過保護だし、絶対嫉妬魔だし、うざいと思う。まあ、優しいとは思うけど。」 「天宮さんと釣り合わないのは自覚済みだから大丈夫。 気をつけるので何か思う所あったらいつでも言ってくださいね。」 大学ではみんなに一目置かれてる首藤さんが、家族の前ではこんな風だって知ったら、みんな驚くだろうな。 「いや、俺の方こそ。 なんでも言ってください。」 「じゃあひとつ。」 「はい、なんですか?」 「好きです。」 「えっ、ちょっ、今?」 「はい。さっきから言いたいなと思ってました。」 「さすがに恥ずかしい……。」 「え〜、天宮くん可愛い〜。」 「先生って恋人の前だとそんな感じなんですね!?」 「見るな。」 俺の前に立ちはだかって、お母さんと春夏さんから見えないようにしている。 「首藤さんも見ないでください。」 「それは無理です。可愛い顔を目に焼き付けないと。」 「あぁもう、黙って。」 恥ずかしさのあまり首藤さんの口元を両手で塞ぐ。 「春夏〜、廉と天宮くんが仲の良さを見せつけてくるんだけど。」 「私たちもいるの忘れられてるかな〜。」 「忘れてないです! ハンバーグ!冷めちゃうし頂きましょう?」 多分、というか絶対顔赤いけど、なんでもない振りをしてみんなに食事をするよう促す。 いろいろとこれ以上はたえられない。

ともだちにシェアしよう!