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第39話
「ただいま。」
「お邪魔します。」
「おかえり!先生いらっしゃい!」
春夏さんが元気よく出迎えてくれて、リビングまで案内してくれる。
「春夏から、先生はお肉が好きだよ〜って聞いたからハンバーグにしてみたんだけど、よかったかな?」
「はい、好きです。ありがとうございます。」
「……ずっと思ってたけど、天宮くんって本当にかっこいいわね。」
「えっ?」
「ハンバーグのことだって分かってるのに、好きですって言われて、思わずきゅんとしちゃったわぁ。」
「母さん。」
「もー、そんなんで嫉妬しないでよ。
そんな調子だと愛想つかされるぞ〜。」
「……それは困る。」
「お兄ちゃんと先生がくっついたらいいな〜とは思ってたけど、改めて考えるとお兄ちゃんに先生はもったいないね。
お兄ちゃん心配性で過保護だし、絶対嫉妬魔だし、うざいと思う。まあ、優しいとは思うけど。」
「天宮さんと釣り合わないのは自覚済みだから大丈夫。
気をつけるので何か思う所あったらいつでも言ってくださいね。」
大学ではみんなに一目置かれてる首藤さんが、家族の前ではこんな風だって知ったら、みんな驚くだろうな。
「いや、俺の方こそ。
なんでも言ってください。」
「じゃあひとつ。」
「はい、なんですか?」
「好きです。」
「えっ、ちょっ、今?」
「はい。さっきから言いたいなと思ってました。」
「さすがに恥ずかしい……。」
「え〜、天宮くん可愛い〜。」
「先生って恋人の前だとそんな感じなんですね!?」
「見るな。」
俺の前に立ちはだかって、お母さんと春夏さんから見えないようにしている。
「首藤さんも見ないでください。」
「それは無理です。可愛い顔を目に焼き付けないと。」
「あぁもう、黙って。」
恥ずかしさのあまり首藤さんの口元を両手で塞ぐ。
「春夏〜、廉と天宮くんが仲の良さを見せつけてくるんだけど。」
「私たちもいるの忘れられてるかな〜。」
「忘れてないです!
ハンバーグ!冷めちゃうし頂きましょう?」
多分、というか絶対顔赤いけど、なんでもない振りをしてみんなに食事をするよう促す。
いろいろとこれ以上はたえられない。
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