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第43話
翌日。
11時頃に首藤さんから、今から行ってもいいですか?とメッセージが来た。
既に目が覚めていた俺はそれを承諾して、多分30分くらいはかかるであろうと思い、のんびり着替えたところ。
そして今から寝癖を直そうとしている時に、インターフォンがなった。
扉を開ける前に確認してから開けることを首藤さんに念を押されていたため、しっかり首藤さんであることを確認した後、扉を開ける。
「早かったですね。」
「バイト先に寄っていて、そこから連絡したので。」
「そういう事だったんですね。
あ、俺まだ寝癖ついたままなので、一旦上がってください。」
「お邪魔します。」
首藤さんを招き入れて、再び鏡の前に立つ。
「寝癖ついてるのも可愛いですね。」
俺の後をついてきたかと思うと、背後にたって俺の寝癖をいじる。
「さすがに寝癖は可愛くないですよ。」
何を言ってるんだと思いつつ、寝癖を直すべく軽く髪を濡らす。
「天宮さんならなんでも可愛いんです。
あっ、もし良ければ俺が乾かしても?」
「え、なんでですか。」
「天宮さんに触れる口実です。」
「ほんと正直ですね。
じゃあお願いします。」
可愛いとか、触れたいとか、昨日から見ていて恋人に見せる首藤さんの姿が少し見えてきている。
それがなんか嬉しい。
「ニコニコしてて可愛いですね。」
ドライヤーをしてるからだろうけど、急に耳元で囁かれて、思わず振り返る。
ん?って顔で見てくるけど、さすがに分かってるでしょ。
そのまま乾かすのを辞めないから、いったん大人しく髪を乾かされてみる。
「はい、乾きました。」
「ありがとうございます。
けど急に耳元で話すのはなしです。」
「はい、わかりました。」
そう言って絶対わかってない顔で頷く。
まあ嫌な訳では無いからいいけど……。
「どこ行きましょうか。」
「駅の向こうに新しくできたカフェに行ってみたいです。もしよければ。」
「あぁ、パティシエの方がケーキを作ってるっていう?」
「そう!」
「もちろんいいですよ。行きましょう。」
「ありがとうございます。」
快諾してくれたおかげで行き先も決まり、準備も終えた俺らはふたりで家を出た。
「うちでもよく甘いもの食べてますが、甘いもの好きなんですか?」
「はい、とても。
和菓子も洋菓子も好きです。」
「勉強しておきます。お菓子作りはあまりやった事がないので。」
「え?いいですよ、そんなの。」
「俺がやりたいんです。
何かを作るのは好きですし、天宮さんが美味しそうに食べるのはもっと好きなので。」
「……なるほど。」
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