54 / 77
第54話
「首藤さん天才!
丁度いい半熟具合です!」
「それはよかった。」
「あの、首藤さんも食べてくださいね?」
また俺の食べるところをガン見していたようで、全然うどんに箸をつけようとしない。
「天宮さんがご飯食べてる姿、やっぱり可愛い。
あ、写真撮っていいですか?」
「え!?ダメです!嫌ですこんなところ撮られるの。」
「ダメか。」
「はい、ダメです。」
「残念です。前々から狙ってたのに。」
「何がいいんですか?ご飯食べてるだけですよ?」
「それがいいんですよ。
そもそも天宮さんは存在が可愛いので、もはやいてくれるだけで大丈夫です。」
「それはさすがに話を盛りすぎです。」
「盛ってないですけど。」
「早く食べないとうどん伸びますよ。」
「そうですね。食べましょう。」
「ご馳走様でした。」
俺の方が食べ進めていたはずなのに、首藤さんはあっという間に食べ終わって、途中からまた見られながら食べるはめになった。
「お粗末様でした。」
「すみません、洗い物まで。というか本当に何から何まで……。」
「いえいえ、家事は好きなので。
あと、俺は好きな人をとことん甘やかすのが好きみたいなので。
むしろさせてくれて感謝してます。」
「珍しいですね。やらなくてもいい事って、できればやりたくないって人が多いと思いますけど。」
「俺も普段はそうですが、天宮さんになら何でもしてあげたいって思ってしまうんです。」
「……俺そのうちダメ人間になりそう。」
「大丈夫ですよ。天宮さんはならないと思いますし、例えそうなったとしても好きです。」
「あまり甘やかさないでください。」
「それは難しいですね。」
「じゃあ甘やかした分だけわがまま言ってください。」
「それも難しいな……。天宮さんが居てくれるだけでいいんですが。」
「そんな欲のない人います?」
「欲は無くはないですけど。」
「え!何ですか?」
「いや、そりゃ、恋人にしたい諸々を……。」
「……なるほど。」
最近1ミリもそういう雰囲気ないから不安だったけど、やっぱり首藤さんもそういうこと思うんだ。
「大丈夫ですよ。今日は何もしないので。」
「……あの、変なこと聞いてもいいですか?」
「何ですか?」
「俺が今日風邪ひいてなかったとして、首藤さんは、その……、俺に触りたいとか思ってくれますか。」
「はい?」
「あ、や、あの、今日はって言ってたので……。」
「触りたいに決まってるじゃないですか。
というか今も触りたいのを我慢してます。」
「ほんとに?」
「はい。でもさすがに熱がある人に手を出す気はないですよ?
でも、俺は天宮さんのこと抱きたいと思ってるんですが、そのへんの解釈が一致してるのかどうか、事前に確認はしときたいですね。」
「……あ、それは……、はい。大丈夫です。」
「よかったです。
あと、1回許可されてしまうと、今以上に天宮さんのことばかりになってしまうと思うので、できれば卒論終わってからで……。」
「はい。」
だから最近は触れてこなかったってことかな。
「ただ天宮さんがそんなこと言ってくれると思ってなくて、さっきと言ってること違うんですが、一緒の布団で寝る許可を頂けませんか。」
「え、あ、でも俺今日お風呂入ってないし、ベッド狭いし、もし風邪移したら……。」
「そういうの全部置いといて、天宮さん自身は?嫌ですか?」
「……嫌じゃないです。」
ともだちにシェアしよう!

