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第55話

という流れで今夜はふたりでベッドで寝ることになった。けど……、 「……さすがに178と182がふたりでシングルに寝るのはキツいですね。」 寝返り打ったら落ちるのを容易に想像できる狭さ。 「だから言ったのに。」 「まあけどこうすればそんなに問題ないですよ。」 そう言って首藤さんは俺を抱きしめた。 ここでいい身長差のカップルは胸板くらいに収まるのかもしれないが、俺らの場合息のかかる距離に顔面が来る。 かといってあんまり下にズレると足出そうだしな……。 「俺あっち向きますね。」 「ダメです。天宮さんの顔がみたいので。」 首藤さんの腕によって反対側を向こうとするのを阻止される。 「でもこんな近いと風邪移るかもしれないし……。」 「大丈夫ですよ。俺体丈夫な方なんで。」 「でも顔が……。」 「近いですね。このままだとキスしたくなります。」 「なんでそんな余裕なんですか。」 「余裕ぶってるだけで、少しも余裕ないですよ。」 首藤さんは俺の手を取って自分の胸元に当てる。 確かにそこは俺と変わらないくらい早鐘を打っている。 「俺相手にこんなにドキドキしてくれるんですね。」 なんか不思議。 「天宮さんだからですよ。他の人でこうはなりません。 天宮さんは違うんですか?」 「違いません。俺も首藤さんだけ。」 「はー……可愛すぎるのでキスしてもいいですか。」 「はい?」 「大丈夫。ちゅってするだけの、軽いやつ。それ以上は絶対何もしません。誓います。」 「……さすがに風邪移りますよ?」 「じゃあそれを除いて考えて。 嫌ですか?」 またこれだ。ずるい。嫌なわけないのに。 「……嫌じゃないです。」 「よかった。」 顔が近づいてくるとかいう距離でもないため、心の準備をしている間に唇は触れ合ってしまった。 そしてすぐ離れていく。 「すみません、全然何もしなくないですね。 でももう絶対にこれ以上何もしません。 あ、抱きしめて寝るのだけは許してください。」 「……はい。」 部屋暗くてよかった。絶対顔真っ赤だし表情筋緩んでる自信ある。 「くっついてる俺が言うのも何ですが、寝苦しくないですか? 冷えピタとかもあったんですが、要ります?持ってきますか?」 「大丈夫ですよ。」 「何かあったら言ってくださいね。寝てるところを叩き起してくれても全然構わないので。」 「ありがとうございます。」 「おやすみなさい。」 「おやすみなさい。」 目を閉じれば、首藤さんが頭を撫でてくれて、それが心地よくてすぐに眠ってしまった。

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