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第62話

首藤さんがやっと正座を崩して、俺の方に少し近づく。 首藤さんの右手がそっと頬に触れた。 「あ。」 「どうしました?」 「俺も首藤さんに触っていいですか。」 「はい、もちろん。」 「なにかされて嫌なことは?」 「何もないです。」 それを聞いて、俺も少し首藤さんに近づき、手を添える程度に軽く身体に触れる。 キスは昨日もしたけれど、今、自分の心臓が壊れそうなくらいに忙しなく動いているのがわかる。 「目閉じて。」 唇が触れるくらいの距離。 言われるままに目を閉じれば、唇に柔らかい感触。 昨日も感じた感触だけど、昨日と違うのはすぐには離してくれないところ。 何度か軽いキスをくれたかと思えば、ふと唇に生暖かいものが触れる。 俺はそれを迎え入れた。 遠くの子どもの声が聞こえるほどに静かな部屋に響く僅かな水音。 陽の光を頼りにしていた部屋は、もう本を読むのには少々暗い。 さっきまで前のめりだったはずなのに、気づけば体はベッドに背を預けるようにしていた。 腰にあてられていた手がゆっくり動いて、俺の服の裾を探り当て、服の中に入ってくる。 「待っ……。」 軽く服を抑えると、首藤さんは手を離してキスもやめ、パッと離れる。 「待って!嫌とかじゃないので謝らないでください。」 今にも謝ってきそうな首藤さんの言葉を遮って続ける。 「あの、俺、女の子じゃないからおっぱいないし、触り心地も……筋肉ばかりであんまり良くないかも。」 「知ってますよ。天宮さんに触れたいだけで、別に女の子に触れたいわけではないですよ、俺。」 「……はい。」 「俺は天宮さんの胸だから興奮するし、筋肉は素直にかっこいいし綺麗だなって思います。」 「でも……」 「じゃあそこは置いておいて、嫌ですか?」 「……嫌じゃないです。」 「このまま触ってもいいですか。」 「……はい。」 「うわ、ほんとにすごいですね、筋肉。腹筋綺麗に割れてる。かっこいい。鍛えてます?」 「たまに運動するくらいで、言うほどでもないですよ。」 「ありますよ。」 口調はいつも通りでも、触り方がエロい。 触れるか触れないかくらいで触ってきて、ゾワゾワした感覚がずっとある。 そしてそのまま手は上がってくるのに、乳首にはあえて触れないような触り方をしてくる。 あぁ、もう。触るなら触ってよ。 そう思ったのが伝わったのか、焦らすのをやめて乳首をきゅっと摘んできた。 「んっ……。」 びっくりなのか身体的反応なのか、自分でもよく分からないけど、ぴくっと反応してしまった。 「はぁ……。」 それに首藤さんがため息をついて、離れる。 え、なんで……? 「ここ座って。」 首藤さんは俺の横に座り直して、自分の胡座の上を叩いて俺に座るように言った。 俺の悲しみは一瞬にして吹き飛び、今の俺は恥ずかしさよりそうしたい欲が上回って、何も言わずに従う。 「素直に聞けて偉いですね。 ほんと可愛い。」 色っぽい顔のまま微笑む首藤さんはエロい……。 その微笑みが近づいてきて、俺の後頭部と腰に手を添え、再び深いキスをする。 そしてまた服に手を入れるけど、今度は最初から乳首を狙ってきた。 「はっ……。」 それに反応してしまってキスを中断すれば、それを許さないというように再び口付けられ、俺はしばらくキスをされながら乳首を弄られていた。 「も、しつこい……。」 好きな人とキスすれば余裕で勃つし下半身はもうキツイ。 ちなみに首藤さんのもさっきからずっとあたってる。 ……よかった。萎えてなくて。 「すみません。こっちもでしたね。 少し腰あげてください。」 言われるままに腰を上げれば、パンツごとスボンがずりおろされる。 「ふは、ぐちゃぐちゃですね?」 「……まぁ。」 「キスが良かったですか?それともこっち?」 ちゅっと乳首にキスされる。 「っ……どっちも……。」 「さっきからやたらと素直ですね?」 「だって、触れて、触ってくれて、嬉しくて……。」 「……煽る才能ありますよ。 これ持ってて。」 胸の上まで上げられた服を持っているように言われ、その通りにする。 もうすでに片手は俺の体が倒れないよう腰を支えてくれている。 そしてその空いた手は俺のちんこに触れてきた。 また触れるか触れないかくらいにそーっと撫でられる。 それが絶妙な快感を与えてくる。 そしてそれと同時に、首藤さんは俺の乳首を口に含んだ。 と思えば、舌で転がしてみたり、吸ったり甘噛みしたりしてきて、それにも反応してしまう。 「んっ……、ね、もっと…ちゃ…んと、触って?」 なかなかまともに触れられないちんこにしびれを切らして、首藤さんの手に自分の手を添えて握らせる。 「腰動いちゃってますよ。可愛いな、もう。」 首藤さんは口を乳首から離して、今度はまた俺の口に戻ってくる。 「好きですよ。」 キスする寸前に言われて、答える間もなく口を塞がれる。 やば。今のでイッた。 首藤さんがふっ、と笑ったのがわかって、そのまま手は止められたけど、キスはやめてくれない。 首藤さんとのキス、気持ちいい……。

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