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第63話

満足したのか唇が離れる。 「ねぇ、首藤さんのコレは……?」 「……今日は止めておきましょう。 これ以上はいろいろ無理です。」 「でも俺ばっかり……。」 「じゃあその分、次に期待してますね。 すみませんが着替えを借りても?」 有無を言わせない感じ。 この状況で理性保つのがしんどいのだろう。 別に俺はいいのに……。 卒論、早く終わらないかな。 「はい。」 「ありがとうございます、お借りしますね。 あとトイレも。」 「あ、はい。」 俺ばっかり気持ちよくなって申し訳ない。 電気もつけてしばし大人しく待ってると、首藤さんがトイレと着替えを終えて戻ってくる。 さっきの今ではあるけど、もう触れたい欲が……。 けど首藤さんに迷惑もかけられないし……。 「ん?来ます?」 そんな俺の視線に気づいたのか、首藤さんは自分の腕の中に誘う。 「天宮さんって意外と甘えたなんですね。」 「これは首藤さんが甘やかしてくるせいで、ちょっと俺も影響受けつつあるというか……。」 「俺のせいですか?嬉しいな。」 嬉しいんだ。 「ねぇ天宮さん。ここ、痕つけていい?」 つんつんと首筋を指してくる。 「あと?」 「キスマーク。 あのよく話しかけてくる女の人とか、ナンパしてくるような人とか、あとまあ天宮さんに色目使ってる全員を黙らせたいというか。」 首藤さんのほうがモテるし気にするなら俺の方だと思ってたけど、首藤さんも意外と気にしてたんだな……。 「……いいですよ。」 「ほんとに?嫌なら断ってください。」 「嫌じゃないです。」 「でも俺と付き合ってるのがバレる可能性もあります。」 「特に隠してる訳でもないので構いませんよ。」 「ほんとそういうところ好きです。」 そういうと項あたりを軽く吸われる。 俺からは全く見えないけど、満足気だから多分しっかりついてるんだろう。 「あの。」 「はい。」 「よければこっちにも。」 俺は自分の唇を指す。 今までしたことなかったから知らなかったけど、俺はキスが好きらしい。 「あー、なにもう、今日クソ可愛いじゃん。」 「ふふ、口悪くなってますよ。」 「あ、つい。 こっち向いてください。」 首藤さんに背を向けていた状態から、反対をむいて向かい合わせになる。 首藤さんは俺の頭を優しく撫でたかと思うと、そのまま後頭部に手を添え、軽いキスをしてくれた。 「今日はこれで勘弁してください。俺の理性が持たない……。」 「早く卒論終わるといいですね。」 「本当に。 昨日と今日のおかげで、明日から今までの倍頑張れます。」 「無理しないでくださいね。」 「気をつけます。 あ、そうだ。俺が1からやってあげたいので、ひとりでココ弄らないでくださいね?」 お尻をサラッと撫でられて、俺は頷く。 あと1ヶ月半くらいか。長いなぁ。

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