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第64話
それから本当に倍頑張っているのか、昼に一緒に食事していたのも、週3、4回から週1、2回に減った。
そしてその生活が1ヶ月程続いた頃。
今日の講義がひと通り終わり、荷物を鞄に閉まってるところだった。
「天宮さん。」
「あれ、首藤さん?卒論は?」
「終わりました!」
あまり大きい部屋でもなかったため、それはもう講義室にいる人全員に聞こえたのではないだろうか。
「えっ!お疲れ様です!」
けど俺もそれどころではなく、一緒にでかい声で盛り上がる。
それは部屋中の注目を集めた。
「今日の講義は終わりですか?」
「はい。」
「じゃあ送って行ってもいいですか。」
「もちろんです。」
周りの視線も無視してふたりでいつも通り話しながら帰路につく。
「一応発表は控えてるんですが、提出はできたのでもう忙しくはないと思います。」
「じゃあ学校外でも会えますか?」
「もちろんです。というより、学校に来る用事はもうほぼないです。」
「そっか。後期は特に講義も取ってないですもんね。」
「ですね。
けど天宮さんの隣で講義受けたいので来ますね。」
「俺が集中できないのでやめてください。」
「なんでですか。真面目に聴きますよ?
良ければ代わりにノートも取ります。ほら、後期もひとコマだけ1限あるじゃないですか。寝坊してくる分のノート取っておきましょうか。」
「もう甘やかしすぎです!俺最近はちゃんと起きてますよ。」
「ほんとに?」
「はい。首藤さんが頑張ってるのに、俺だけサボる訳にはいかないので。」
「理由が可愛い……。
あ、そうだ。明後日空いてますか?」
「空いてますよ。」
「うちでクリスマスパーティーをやるらしいので、良かったら来ませんか。」
「いいんですか?そんな家族の行事に呼んでもらって……。」
「もちろん。むしろ母も妹も呼べってうるさいくらいです。」
「嬉しい。行きたいです!」
「よかった。伝えておきますね。
ちなみに明明後日は空いてます?」
「はい。」
どうなるか分からなかったけど、一応24日と25日はどちらもあけてあった。
「じゃあその日はふたりで過ごしませんか。」
「はい、ぜひ。」
「それと、もし、本当にもしよかったらでいいんですが、24のパーティーは昼間なので、24日の夜からなんていうのは……。」
「25日の朝起きれなくてもいいならいいですよ。」
「俺は一緒にいられたら1日家でもいいですよ。」
「じゃあ決まりですね。」
そんな楽しい話をしていれば、俺の家なんて学校から徒歩5分の距離かと錯覚してしまうくらい近い。
「あの、うち寄っていきませんか。」
「いいんですか?」
そのいいんですかはきっといろんな意味を含んでいるんだろうけど。
「はい。
ちょっと今朝でかいヤツがいまして。」
「ふふ、182cmのですか?」
「そうなんですよ。
だからひとりじゃちょっと。」
「俺が退治してあげますね。」
「お願いします。」
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