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第75話

俺は伸ばされた腕に迎え入れられるように、首藤さんに抱きしめられる。 すぐ目の前の首藤さんは俺の顔を見ながら、口を開く。 「魔法が使えたりはしないから、俺は言葉と態度で表すくらいしかできないけど、きいちしか見えてないよ。 この先もそれは変わらないと思う。」 「うん。」 「けど、大学と違って絶対毎日人と関わっていかないといけなくなるし、そこにきいちが居ることは出来ないから、不安になるのも分かる。 正直なところ俺も心配だし。」 「首藤さんも?」 「うん。きいちはカッコよくて可愛くて、更に優しいし愛想も良くて、すごくモテるから。 後輩が入ってきたら、多分全員1回はきいちに惚れると思う。」 「それは大袈裟。」 「いやそんな事ないよ。」 「だとしても俺は首藤さん以外興味無い。」 「うん、そういうところも好き。 あんなに愛想良くてみんなと仲いいのに、絶対自分から話に行ったりしないもんね。」 「うん。」 「けど俺のところには来てくれた。」 「うん。なんとなく興味わいたから。」 「これからも俺以外は興味持たなくていいからね。」 「持たないというか、持てないんじゃないかな。」 「はぁ、ほんと可愛い。 ……抱いていい?」 「……うん。」 ほんの10cm程の距離が縮まって、唇が重なる。 俺を抱きしめていた腕が力をゆるめたと思えば、俺の服を脱がし始める。 「甘い匂いする。」 唇を離した首藤さんが、今度は俺の胸に口付けをしてそう言う。 「んっ…ボディクリームかな。」 「ごめん。せっかく塗ったのに今からぐちゃぐちゃにするかも。」 「いいよ。」 俺がそういえば、遠慮なく乳首を口で弄り始める。 それと同時に、ローションを手にお尻も弄る。 「さっきお風呂でちょっと解したから、結構すんなり入るね。」 「あっ…そこでしゃべんないで……。」 ぴちゃぴちゃと乳首を舐められながら、お尻には二本の指がぐちゅぐちゅと出し入れされる。 「あっ……んっ…んっ……。」 「可愛い。」 「首藤さんの……っ。」 「ん?」 「指じゃなくて……すどうさんの……ほしっ…あ゛あぁっ……!」 言い切る前に欲しかったものが与えられる。 まずはゆっくりとした動きで、少しずつ慣らすように動いてくれる。 首藤さんのモノの形がよくわかるようで、それが興奮を煽る。 「あぁっ……んっ………おっき……。」 「苦しい?」 「ちがっ、…気持ちいい……はぁ、ん。」 「もっと動いても、平気?」 その問いかけに頷くと、我慢していたのを徐々に解放するように、けどあくまでこちらを気遣いながらピストンされる。 「あっ…はぁ…あっ…あっ…きもち……。 ね、気……、んっ、使わなく…ていいよ?もっと…、」 「……あー、クソッ。」 あ、口悪いの出た、と思った瞬間に、急に激しく出し入れされる。 「あ゛ぁ……んっ…んっ…んっ…んん…あぁ……」 突かれるたびに無意識に漏れる声は普段聞き慣れた自分のものとも、さっきまでのものとも違って、やたら甘ったるいものだった。 そう意識してしまうと、反射的に声を我慢するように下唇を噛んでしまっていた。 「噛まないで……。」 下唇にそっとキスされる。 俺は下唇を噛むのはやめて、もっとキスを強請ることにした。 シーツを掴んでいた手を離し、首藤さんの首に腕を回して、突かれるたびに声を上げつつも視線でキスして欲しいと訴える。 「……はっ…可愛いっ……。」 ニヤッと笑ってそう言ったと思えば、望み通り深いキスをしてくれる。 お互い息が上がっていて余裕もないし、もはや誰の唾液かわからないものが、口の端から溢れる。

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