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マラカイトとトパーズ 3

「素晴らしい。俺か見込んだトパーズだけのことはある!!」 蹴られ吹き飛ばされたのにクジャクは上機嫌だった。 「なんなんだよ、コレ!!!」 キイチはキレた。 キイチは子供の頃から空手をしてて、ちょっとした腕自慢ではある。 なんなら小さい大会なら優勝経験もある。 でも、だからこそ、自分にこんな力がある筈がないことは分かってる。 100キロ近い相手を吹き飛ばす蹴りなど放てるわけがない。 これは。 人間のレベルではない。 オレは人間ではない。 キイチはそれが、石の瞳と伴ってリアルに自覚できた。 「てめぇ勝手に何してくれてんだぁ!!!」 キイチはクジャクに詰め寄る。 事故で死んだのは、まあ、自分のせいだ。 そこは納得しよう。 仕方ない。 だが、この身体は何だ? 何なんだ 何にされたんだ。 どうやって。 疑問と同時に 「何勝手に人のことを改造してんだ!!!」 ここが一番許せない。 特撮ヒーローじゃないんだぞ!! MA〇VELでもないし!! 「いや、でも、ほら、死ぬよりはマシでしょ?」 クジャクが首を傾げる。 本気で言ってるんだな、と。 ムカついた。 だが、しかし。 でも。 「まあ、たしかにそれはある」 そこは認めてしまった。 死にたくて死んだわけではない。 むしろ死にたくなかったし。 死ぬ瞬間は受け入れはしたけれど、じゃあコレが気に入らなないからと言って今また死ねるかというと話は別だ。 死にたくはない。 死ぬその時までは生きたいのだ。 「説明をしろ」 キイチは床にへたりこんでいるクジャクの前にどかりと座った。 「全部だ」 キイチはまず、現状の把握に務めることにした。 コイツをどうするかはその後決めよう。 クジャクが反撃して来ないということは、クジャクが今のキイチより強い、もしくは、反撃出来ない、のどちらかだと思われた。 そこも見極めたい。 まずは自分に何が起こったのか、そこからだ。 キイチの偉そうに座ったまま、でも小柄なので大きなクジャクを見上げる姿を、クジャクは何だか嬉しそうに見下ろしてくる。 その子供のイタズラを微笑ましくみるような笑顔にムカついたが、キイチはとりあえずクジャクの言葉を待つことにした。

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