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記憶 4
「どういうことだ!!」
クジャクにキイチは詰め寄る。
40年?
それなら世界が全く変わってるはずじゃないか。
なのに何故気付かなった?
そして、何故40年もかかって生き返った?
「時間がかかるんだよ。【宝石】になるには。それくらい時間をかけないとダメだったんだ。身体をすっかりつくりかえて、そして、命を再び吹き込んだわけ。そして吹き込むために、まあ、色々と・・・。その時ついでに、目覚めてもキイチが環境が変わったことに取り乱さないように、現在の世界のデータを挿入した」
クジャクは言った。
スマホとか、ネットとか、ファッションとか、そういう概念が後付けだったことにキイチは驚く。
だけど、40年、40年だ。
「お父さん、お母さん、みゆこ」
キイチは家族に思わず呼びかける。
家族はキイチが死んだと思っているのか?
家族はどうなってしまったのか。
40年、40年だ。
「オレの家族はどうなったんだ!!」
キイチは叫ぶ。
「さあ?興味無かったから」
クジャクは言う。
本当に興味がないのがわかる。
「オレが死んだと思っているのか?家族は?」
キイチはそれでも聞く。
「いや、キイチが車で撥ねられた後、直ぐに死体をそのままオレが持って帰ったからどうだろうなぁ・・・」
クジャクは首を傾げる。
家族は。
あの日家を出て行ったキイチが。
死んだことも知らない可能性が出てきた。
なんてことだ。
「帰る!!」
キイチは怒鳴った。
帰らないと。
お父さん、お母さん、みゆこ。
家族が。
家族に。
「だから、それが危ないって言ってるんだよ」
クジャクが言う。
「ガラスは多分キイチを見張ってる。ガラスがどうやって見張るのかなんか俺にも分からない。でもキイチが弱点になる家族と接触したら、ガラスは家族を狙ってくるよ」
やれやれと言った調子でクジャクが言うものだから、キイチはまたガラスの腹にパンチをいれた。
キュウ
変な声を上げてクジャクが丸まる。
弱い。
本当に弱い。
見事な肉体は外見のみらしい。
「もともとテメェが勝手に生き返らせたんだろうが!!」
キイチはキレる
最終的に何をやって生きかえらせたのかは知ってるが、くそ、それについては考えたくないが、とにかく、クジャクのせいなのだ。
だけど、だけど、キイチのせいで家族が危険に合うのは確かで。
でも。
キイチは家族に会いたかった。
キイチは事故にあった時、18歳で。
妹は16歳で。
あれから40年だと?
お父さん、お母さんは?
今80過ぎ?
生きていたら、だ。
そして帰って来なかったオレをどう思っている?
キイチは胸を押さえた。
苦しい。
会いたい。
苦しすぎる。
「・・・だから知らない方が良いって言ったんだよ、俺は」
クジャクはため息をつく。
「黙れ!!」
キイチは怒鳴り、でも考える。
良く分からないけど、どうすればいいのか考える。
いや、どうなんだ?
どれくらい危険なんだ。
何とかならないのか?
情報が、足りない。
圧倒的に足りない。
真っ青になって頭を抱えるキイチをクジャクはしばらく黙って見つめていた。
「・・・・・・キイチ、オススメはしないんだけど」
そして、本当に渋々と言ったようにある提案をしてきたのだった。
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