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神隠し

ガラスは【目】を沢山持っている。 ガラスの能力は生命体を作り出すこと。 白のようなちゃんとした意志や個性を持つ生命体は、「宝石の核」がいるので、作り出すことはできないが、自分の目や耳の代わりになる鳥や虫を作り出し、それを使って「見る」ことも「聞く」こともできる。 バトルはほぼ何でも有りだ。 敵の情報をどれだけ持っているかが勝敗を分ける、とガラスは思ってる。 今回のターゲット、クジャクとそのバートナー【トパーズ】にそういうわけで見張りをつけてある。 鳥。 虫。 色々だ。 それをクジャクも分かってるはずだが、何に見張られているのかわからない限り、ガラスの【目】からは逃げられない。 何かが始まったのは確かだ。 クジャクの部屋にカーテンがついた。 ガラスの【目】を避けるだめだ。 部屋の中には侵入出来ないように、クジャクが結界を張ってある。 クジャクはプレイヤーの中でも【馬鹿じゃない】プレイヤーだ。 まあ、性格がアレだからバカに見られがちだが、ガラスはクジャクを見誤ることはしない 実際、屈指のプレイヤーなのだ。 ただ、【宝石】に入れ込みすぎて、いつも良いところで負けてしまう。 だからこそ、【宝石】が目覚めたばかりでプレイヤーとの連携も絆もない内に潰しておくに限る。 ガラスは確実に勝つのが好きなのだ。 放った【目】達でクジャク達を見張りながら、ガラスはガラスで楽しんでいた。 相手は残念ながら、白ではない。 白は身体を造り直すのに数週間かかる。 毎日白の水槽の縁に腰をおろし、出来上がっていく白に愛をささやき、歌を聞かせている。 だが。 ガラスの性欲は強い。 まあ、無機物はみんなそうだが。 数週間もガマンできるはずがなく。 ガラスは【人間】を抱いていた。 仕方ない。 白とできないんだから仕方ない。 ガラスだって人間なんか相手にしたくない。 白がいい。 でも、仕方ないのだ。 人間達はガラスの容姿が大好きだ。 目をコンタクトで偽装して、街にでれの姿に男女構わず人間は夢中になる。 長身。 美しい完璧な容姿。 【無機物】はとても美しい。 まあ、まあ、姿が見えなくなったなら人間はガラスのことを忘れてしまうのだけど。 ガラスが街中で、処理用の穴を見つけることなど簡単なのだ。 なのでガラスは今、人間を使って楽しんでいるところだった。

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