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神隠し 2
ガラスは美しい。
まあ、
無機物達はほとんどが美しい。
それでいうと、【宝石】達はそうでもなかったりもするが。
もちろん、白は別。
ガラスの宝石、オパールである白は、最高級にうつくしい。
だが。
例えばクジャクの宝石は、どうみても普通の童顔の青年でしかない。
どこにでもいる容姿だ。
宝石にする相手はいくらでも選べるのに、クジャクが時間をかけて選んだのがアレだ。
だが、まあ、それはいい。
クジャクは昔から悪趣味なのだから。
だがガラスは違う。
美しいモノが好きだから白を作った。
そして、今も自身の美しい姿を利用して、綺麗な人間を捕まえたのだ。
白がいない時用の人間を探すためにも、【目】を使っている。
ガラスが作り出した、意志のない生命体達だ。
鳥や虫などの姿をとる。
それらを使って好みの人間を見つけ出している。
ガラスはそうやって見つけてある白の代用に近づき、彼らを攫うのだ。
美しい姿を利用して。
ガラスは美しい。
残酷で卑劣な内面とは関係なく。
美しい肌と柔らかい髪。
大きな美しい身体。
ガラスの美しさはやわらかく優しげで。
ただ、タレ目がちな甘い目の形に反して、必要以上に光を反射し、透き通り体内まで見えるような、文字通りガラスの瞳の異様さが、すぐにこれは人間ではないという恐れを感じさせる。
だが、ガラスは人間に紛れるためのコンタクトやサングラスでその目を隠すので問題はない。
目で見つけておいた人間の元へ現れて誑かす。
そして攫う。
これをガラスは昔からやっていて、その結果を人間達が「神隠し」などと言って、伝説などになってるのを笑ってる。
まあ、無機物は人間からみれば神のようなものだろう。
人間は無力だから。
だが。
人間でも十分楽しめる。
白が目覚めるまでの代わりくらいにはなる。
なので、ガラスは人間で楽しんでいた。
攫ったのはまだ幼い少年だ。
ガラスは汚れた大人が好きではないからだ。
まあ、ガラスの好みそのままで造った白の見かけが15歳くらいなとこからも、ガラスの性癖は【そういうの】だ。
ただ、人間の場合は白のように酷くは抱かない。
酷くしてしまうのは白への愛ゆえだからだ。
人間は白が本に戻るまでもたせないといけない。
だから、まあ、そこまでは丁寧に扱う必要はあった。
白と違って人間はすぐ死ぬからだ。
今日攫ってきた少年も。
ガラスにしては優しく扱っている。
無理やり攫ってきたわけではない。
男でも女でも、それこそ少年少女でも、ガラスの美しさには惑うのだ。
優しく微笑まれて、「おいで」といわれたなら。
ふらふらと自分からやってきてしまう。
ガラスは獲物を簡単に車にのせて、この家まで連れてきたのだった。
正気に返る前に、もう服を脱がせていた。
ちゃんと調べる。
誰にも使われたことのない身体なのか。
昔は人々を脅して「処女」を用意させていた時代もあった。
ガラスを神だと思って、村人達が捧げてくれたのだ。
だが、処女じゃないモノを捧げられ、何度かブチ切れたので、その方法ではとらない。
自分で探すのが1番だ。
よく調べて選んでいるが、違っている可能性もあるので確かめる。
細い足を押し広げ、穴を確かめる。
使われた形跡がないかどうか。
ぼんやり、されるがままになっていた少年、まだ15にもなってないだろう、は穴を大きなガラスの指で撫でられて、やっと正気にかえって悲鳴をあげる。
美しい大きな男とベッドにいるのに気づくからだ。
その反応に気をよくするのはガラスだ。
こうでないと。
ガラスは楽しげに笑う。
人間で遊ぶのは。
それなりには楽しいのだ。
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