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関係性 5

クジャクの熱い大きな指がキイチの茎を優しくそして、時に強く握り扱いていく。 それはキイチがしていた自慰とは比べれないほど淫らなもので、先走る汁を絡めて、さらに擦られ、緩められて宥められ、先の穴を親指でなぞられ、キイチは身悶えして、声を上げ続けてしまう。 ああっ はあっ くぅっ 許しているから、 その行為を受け入れているから、快楽も否定できあなくて。 その甘さに脳が焼かれてしまう。 達したいのにあやされて、また宥められ、また寸前まで追い詰められて。 その合間合間に、優しいキスが力を奪い、クジャクに身体を預けてしまう。 キイチはふにゃふにゃに蕩けたゼリーみたいになっていた。 快楽に完全に浸されて。 でも、何度も何度も寸止めされて、とうとうキイチは泣いてしまった。 出したい。 出したい。 でも、そんなの言えない。 言えるわけがない。 出させてくれ、なんて。 「ああ、泣かないでキイチ」 そう言って、優しく涙を舐めとるくせに、クジャクの指は意地悪だ。 キイチは。 悔しくてクジャクの胸を殴った。 結構本気で殴ったはずなのに、クジャクは微笑んだだけで。 暴れるキイチを抱きしめて胸に閉じ込めたのだ。 本来なら、容易く吹き飛ばされ、無様にやられるクザャクとの違いに「アレ?」とキイチは思うはずだったが、今はそれどころじゃなかった。 「うんうん、もうイこうね」 優しい深い声が、宥めるように言うのと、指が激しくなるのに、溺れていた。 「マジで可愛い。たまんないな」 そんなクジャクのうっとりした声も、飢えきった顔にもキイチは気付かず、クジャクの指だけに狂っていた。 初めてした自慰のように、クジャクは叫んで射精した。 クジャクの手の中で。 クジャクが食入るように見ていることにも気付かず、キイチは我を忘れて叫び、身体を震わせたのだった。 ひくひくとキイチは余韻に震えていた。 こんなの。 こんなの。 オナニーとは比べ物にならなさ過ぎる。 その身体にまた優しく落とされる、余韻のようなキスを当たり前のようにキイチは受け入れてしまっていた。 「キイチ。ありがとう」 クジャクが離れようとしたから、キイチは驚いた。 終わり? クジャクは服をぬいてないが、その下半身がとんでもないことになってるのは、キイチもずっと気づいていた。 「キイチが俺を信じて身体を預けてくれた。これで関係性は上がった。キイチを依り代として俺は使うことができる。ガラスの目を晦ますならこれくらいで十分なんだよ」 優しく頬を撫でるクジャクの手を当たり前のように受け入れていることにキイチは自分ではわかっていない。 「でも。お前。それ、ツラいだろ」 キイチは目を逸らしながら言う。 同じモノを持っているとは思えないそのサイズ感に怯えながら。 「ん、でも。ここまでで十分だから」 クジャクは微笑んだ。 ちょっと切なげに。 キイチは。 キイチは。 一人に借りを作るのが嫌いだ。 自分さえ良ければ良いなんて、キイチは教えられてこなかったのだ。 それに。 それに。 自分だけ気持ちいいなんて、なんか。 納得して始めたことだし。 クジャクのあっさりした様子に何故か罪悪感をかきたてられて。 キイチは言っていた。 良く考えたなら、何かおかしいことに気付いただろうに。 「お前のソレ、オレの手でいいなら・・・」 キイチから言ってしまっていた。 キイチは目を逸らしていたから。 クジャクの隠しきれない笑顔には気づかなかった。

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