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圭クンが言ってくれた。
オレのこと・・・好きだって。
Ωのオレじゃなくて・・・成宮 聡としてオレを欲しいって。
そう・・・言ってくれた。
そしたら急に、さっきまでソワソワして不安で仕方なかったのが、女子高生かよ?みてぇに胸がキュンとなって・・・嬉しくてたまんなくなった。
オレ・・・きっと、この言葉を待ってたんだ。
圭クンから好きだって言葉を。
Ωじゃないオレを欲しいって・・・言われたかったんだ。
でも・・・いざ、欲しかった言葉をもらうと嬉しいのに照れくせぇの。
何て答えたらいいのかもわかんなくなるし、圭クンの顔がまともに見れねぇし。
泳がせた視線はユラユラと揺れて、落ち着いた先は足元で。
唇は上手く言葉を発せられないのに、けど・・・嬉しい気持ちは勝手に溢れ出して、自然と唇が弧を描いてた。
それをOKと取ったのか、両頬を挟むようにして触れていた圭クンの片方の手がオレの顎に移動し、俯てるオレをクイッと上に向けると「聡くん、俺のこと見て」って囁くから見つめ返せば、そこには優しい眼差しでオレを見つめる圭クンの瞳があって。
「愛してる。
俺が聡くんをもらっていい?」
オレの大好きなちょっと低めの掠れた声でそんなこと言われたら・・・断ることなんかできねぇじゃん?
それに・・・断る理由なんてどこにもねぇし・・・寧ろ、ずっとその言葉を待ってたんだから・・・もう、「いいよ」って言うしかねぇだろ?
でも・・・やっぱ、天邪鬼なオレは素直になれなくて。
「圭クン・・・ズルい」
裏腹な言葉を返せば
「俺、狡いよ?
聡くんの為なら狡くも、嫌なヤツにもなれるし・・・聡くんが望むならめちゃくちゃ優しくにもなれる。
聡くんがすげぇ、好きだから。
こんな俺じゃ・・・嫌?」
もっとズルい言葉が返ってきて。
これ以上、何か言われたら嬉しくて泣いてしまいそうだったから、今度はオレから圭クンの唇を塞いでやった。
最初は触れるだけのキスのつもりで圭クンの唇に触れたのに、圭クンは角度を変えてオレの唇にを重ねてきて・・・気づけば閉じていた筈の唇は圭クンの唇で抉じ開けられて。
そこから挿し込まれた舌で歯列をなぞられると、もっと深いキスを望まれてるみてぇな気になって、そっとオレから舌を挿し出したら、直ぐにその舌は圭クンの舌で絡み取られて。
背筋にゾクリと何かが走って怖くなった。
「ヤ・・ダ・・・ッ」
キスから逃れようと圭クンの胸を押す。
「聡・・・くん?」
唇が離れ、二人を繋いでいた銀の糸がプツリと切れた。
そんな深いキスをしてたのかと思うと恥じぃのに・・・なんか、二人を繋いでたものが切れたみてぇに感じて。
それすらも怖くなって。
「ヤダ・・・怖い」
急に不安な声を上げた俺を心配そうに見つめる圭クンに
「なんか・・・怖い。
さっき、キスされたら背筋がゾクッとして・・・。
でも・・・唇が離れたら・・・なんか・・・オレと圭クンも別々になったみてぇで・・・怖い・・・ヤダ、こんなの・・・オレ・・・わかんねぇ」
不安な気持ちをそのまま伝えたら何故か「聡くん、可愛い」って言われて。
オレの頭ん中はパニックを起こしそうだ。
「もしかして・・・聡くん、キスもしたことねぇの?」
「ねぇよ・・・そう言う、圭クンはあんのかよ?」
「そりゃ・・・ね」
訊いといて訊くんじゃなかったと後悔。
はっきりした言葉で「ある」とは言われなかったけど・・・モヤモヤが止まらなくなるオレ。
「なんだよ、それ!」
完全に八つ当たりだとは思う。
思うけど・・・なんか、気にいらねぇ。
「大学時代に・・・ね」
はぐらかされると余計にムカつく。
「女の子とかよ?」
「まぁ・・・ね」
また、訊いといて訊くんじゃなかったと後悔しても遅くて。
「何だよ、圭クンはやっぱ女の子の方がいいんじゃん?
じゃ、オレみたいな男のΩなんかじゃなく、女の子と付き合えばいいだろ!」
何、言ってんだよ・・・オレ。
オレも圭クンもいい大人じゃん。
だいたい、オレがこの歳になって何もねぇことの方が変で、圭クンの方が当たり前で。
圭クンのファーストキスの相手がオレじゃねぇことくれぇで・・・何、むくれてんだよ。
バカじゃねぇの。
マジ・・・バカかよって、そうは思うんだけど・・・やっぱ、許せねぇんだよな。
オレはΩだから・・・付き合うとか・・・キスするとかさ・・・そう言うのは考えられなかったんだよっ!
なのに・・・圭クンはまた「ヤキモチ焼いてくれるんだ?可愛い」とか言うから、もう完全にオレは拗ねちまって、圭クンから躰ごと背けて、膝を抱え込んで体育座りしていじけてたら、急にフワッと躰が宙に浮いたかと思うと、何時の間にか圭クンに所謂お姫様抱っこって言うヤツをされてた。
「下ろせよっ!」
花嫁でもあるまいし、こんなことされて喜ぶと思うなよ、圭クン!
オレは男なんだからなっ!
何が何でも暴れてやる。
絶対、抱きかかえられた腕の中でも大人しくなんかしてやんねぇからな。
そしたらこんな言葉が降ってきた。
「お姫様抱っこしたのは聡くんが初めてなんだけどな。
それに・・・俺の部屋で・・・俺のベッドでSEXすんのも聡くんが初めてなんだけど・・・それでも許してくんない?」
これさ・・・よくよく考えれば、キス以上のことヤッてます!ってのをサラリと告白されたんだけど・・・オレってばバカだから・・・圭クンのこの「初めて」って言葉だけ拾って。
後は圭クンにされるがまま・・・オレの初めてを圭クンに差し出した。
「落としたらあぶねぇから、首に掴ってて」
そう言われたから・・・圭クンの首に腕を絡めてしがみついてやったのに、そのせいでオレの息が圭クンの耳元を擽ったのか「ベッドに行く前から煽んないでよ」って言われて。
圭クンのその言葉に顔が一気に赤くなるのがわかったけど・・・もう、ここまできたら素直になろうと決めて、文句も暴れるのも止め大人しく圭クンの腕の中に納まって寝室まで運んでもらった。
そっと・・・ホント、壊れ物でも扱うみてぇにそっとベッドの上に下ろされると、今まで密着していた肌が離れるのが嫌で、絡めていた腕で圭クンを引き寄せる。
「離れたくねぇの?」
ベッドに片膝だけ着きオレを見下ろす圭クンは、さっきまでとは違う雄の眼差しになってる。
発情なんてしてねぇのに・・・圭クンにオレの全てを差し出して、喰われちまいたくなって。
オレはその獣の眼をした圭クンに仕留められた獲物になった。
オレも圭クンも早く、互いの肌を直に感じたくて、服を脱がせ合うんだけど・・・気持ちばっか焦るからか、互いに上手く脱がせられなくて。
もどかしくなったオレは無理矢理、圭クンのシャツを剥がそうとしたら、ボタンが何個か弾けて飛んじまったけど、それすらもなんか・・・二人を煽る材料になって。
圭クンもオレのシャツのボタンを弾けさせながら、オレが身に着けてた物、全部を剥ぎ取り、キスの雨を躰中に振らせた。
リップ音に混じり、内腿や腿の付け根にチリッとした痛みが走る。
「ここなら、キスマークつけても大丈夫だろ?・・・オレのもんだって痕、残させて」
甘い行為に甘い言葉。
発情もしてないのにユルユルと勃ちあがっていくソレ。
中学校の時、周りはβの奴等ばっかで。
その手の話になるとオレはどうしていいか、正直・・・わかんなかった。
学校からの帰り、クラスメイトの男子達が群がって見てる雑誌のグラビアは決まって水着姿のアイドルで。
中には「これ、ヤバくね?」とか言って股間を押えてるヤツもいたけど・・・オレには何がヤバいのか全くわかんなかった。
制御剤を飲んでるせいか、俗にいうムラムラするってヤツも体験したことが無かったし。
「もう、お前・・・白いの出るようになったか?」とか言い出したヤツが、オレにもその話を振ってきたりするもんだから・・・曖昧な返事でごまかしたり。
オレはΩだって知ってはいたけど、だんだんと自分の躰が不気味に思えてきて。
友達から借りた雑誌を見ながら、ひとりでヤッてみたりもした。
けど・・・聞いたみてぇに扱いてみたり、鈴口を爪で引っ掻いてみたりしても、痺れるような気持ちよさとかはなくて。
どんなにヤッてみても、透明な液体が少し出るだけで。
アイツ等が言ってたような白く濁ったモノや、授業で習った精液ってヤツは・・・何回ヤッてみても出てこなかったし、漫画なんかに描かれてるみたいなエクスタシーって言うんだっけ?そう言う類のものは一度も感じたことが無かった。
だから・・・今、触れてもいないのに反応してるソレに正直、ちょっとビビってたりもして。
そのせいで微妙な顔をしてたのか圭クンが訊いてきた。
「まだ、不安?」
だからオレは言ったんだ。
「こんなの・・・初めて・・・」
だって、マジで・・・こんなの初めてだったから。
胸を撫でていた圭クンの掌が脇腹に移動し、濡れそぼってきたソレに触れた瞬間、腰から脳髄にかけて痺れが走った。
「あ・・・っ・・・んぁっ」
何が起こったのか・・・自分でもわかんなかった。
触れられたソレがピクピク痙攣してるって思ったら・・・腹の上に液体が溢れてて。
その液体がオレのソレから出たモノだって知るまでに、少しの時間がかかった。
だって・・・マジで・・・こんなの初めてだったから。
「ヤ・・ダ・・・オレ・・・嘘・・だ・・ろ・・・?」
上手く、息ができねぇ。
腰から足の指先まで麻痺したみてぇにだるくて感覚がねぇのに、腰は勝手に圭クンの掌にソレを擦りつけるように突き出しちまう。
何だよ・・・これ・・・オレ、おかしくなっちまったのか?
「聡くん・・・もしかして、射精も初めて?」
何訊いてきやがるんだ!って言ってやりてぇのに・・・唇が震えて言葉にならない。
「Ωの精液が無色透明だって聞いたことはあったけど・・・マジだったんだ」
ちょっと、待って。
圭クン、オレ・・・そんな話より・・・
「発情してないから・・・分泌液でねぇよね?
ごめん、俺・・・ローションとか用意してねぇから、コレ使っていい?」
ああ・・・圭クン、オレ・・・
「最初はキツイかも・・・」
圭クンも我慢できねぇのか、それとも余裕がねぇのか・・・それともオレの異変を態と無視してんのか・・・もう、どれなのかわかんねぇ。
けど・・・獲物を捕らえた眼をした圭クンはオレを放してはくれなかった。
腹の上をベッタリと汚してるオレが吐き出したモノを右手の中指で掬うと、空いてる左手で俺の足を持ち上げて、圭クンの目の前に曝け出されたソコに指を挿しいれた。
半端ない異物感でいっぱいいいっぱいになる。
圭クンは指を奥に進めながら「聡くん、息吐いて」って言うんだけど・・・無理!そんなこと出来ねぇ。
頭ん中は・・・無理、嫌だ、止めてって・・・そればっか渦巻いてんのに、躰は違ってて。
圭クンの触れてる場所が少しづつ、痛みが和らぎだしてきたかと思ったら、今度は熱を持ち出して。
腰がグッと重くなって、腹の奥の辺りが疼くんだ。
圭クンが欲しいって。
躰も心も・・・圭クンが欲しいって暴れ始めて。
気づいたら・・・オレが圭クンの勃ち上がったソレに手を添え、オレん中に迎え入れていた。
「んん・・あぁぁ、あっ・・・ん」
吐息と共に漏れる喘ぎを止められない。
覆い被さって腰を振る圭クンからも掠れた声で吐息を吐かれ、それが鼓膜を痺れさせ、徐々にオレの頭ん中まで浸潤して。
「・・はぁ・・ああぁ・・・んんっ」
更に奥を突きながら、オレの唇から漏れる吐息までも圭クンの唇に奪われる。
そしたらもう・・・オレの全部が痺れて、与えられる熱とオレの熱が混ざり合って溶け合って・・・オレの全部が・・・触れ合ってる肌や、咥え込んでる圭クンの熱ごと全部・・・一緒に蕩けて。
さっきと同じ・・・ううん、もっとすげぇ痺れが腰から脳髄にかけて走ったかと思うと、一気に熱も息も跳ね上がって・・・オレは最高の快感を感じながらオレと圭クンの腹の間で射精をした。
「聡・・く、ん・・・そんなに締め・・付けたら・・・俺・・・もうっ」
痺れで麻痺した頭ん中で圭クンの声が聞こえて。
その声がやけに響いて。
「噛んで・・よ・・・圭クン、項を・・・噛ん、で・・・」
発情してねぇはずなのに・・・
オレの唇は何かに突き動かされたみてぇに
「圭クン、オレの・・項・・を・・・・噛んで・・・」
何度も何度も言っちまう。
「え?嘘・・・聡くん、まさか・・・!」
オレの言葉に驚いた圭クンが動きを止め、困惑の色を隠しくれない瞳でオレを見つめてきた。
「ちげぇ・・・よ。
発情はしてねぇ・・・けど・・・圭クンが欲しいんだ。
圭クンに項・・・噛まれて・・・圭クンのが欲しいんだ・・・オレ・・・やっぱΩだった・・・ごめん、圭クン・・・Ωのオレで・・・ごめん・・・。
オレ・・・今、気づいた。
オレはやっぱ、Ωだ・・・だから・・・」
オレの言葉をどう圭クンが受け止めたのかはわかんねぇ。
けど・・・
「なら、俺もやっぱ・・・αだ。
今、聡くんの項にすげぇ噛みつきてぇし、噛みつきながら聡くんの中に出してぇよ」
そう言った後、フッと一つ息を吐いて
「けど・・・明日、撮影もあるし・・・仕事とか、家族とか・・・全部クリアにしてから・・・ね。
それに・・・出来れば俺、聡くんがヒートしてる時に番になりてぇよ」
俺より年下の癖に大人の余裕を見せる圭クン。
その圭クンにムカつくのに・・・めちゃくちゃカッコよく見えて。
改めて思った。
オレは圭クンに恋してる。
発情期中にΩがαに触れられると、そのαに恋してしまうって噂は嘘じゃなかった。
だって・・・オレだけじゃ感じることが出来なかったモノを圭クンが触れるだけでいとも簡単に与えられて。
Ωは・・・αがいねぇと不完全なままなんだ。
Ωは恋に落ちたαと一つになれて、初めてこの世界に自分の存在を感じられるんだ。
ずっと間違った認識をしてたのかもしんねぇ。
Ωはαの子を孕むだけの道具なのか?って。
でも違う・・・Ωはαと番になってやっと未完全だった自分を埋めることが出来るんだよな。
今・・・やっとわかった。
オレはΩでαの圭クンが必要なんだって。
オレがオレである為に。
もう・・・迷わねぇし、悩まねぇ。
「圭クン・・・オレも・・・圭クンと番になりてぇ。
ちゃんと、番に・・・だから・・・」
その後の言葉は翔クンのキスで消され、圭クンの熱がオレの中で弾けるまでずっと揺らされ、オレもその動きにシンクロするみてぇに腰を揺すった。
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