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あえぎまくって腰をよじって。自分のものを擦りたてながら。
「ん、あっ……い、く……っ」
もうとっくに、めざしていた場所に届いている指にグリグリ抉られながら。
「あっ……いっ、イク、い、く……っ」
やわらかい舌に、かたく尖りきった胸を吸われて舐めまわされながら。そんな姿ぜんぶを守屋の目にさらして――
「……待って、先輩」
「ひ、ぃ……っ」
――イキ、かけた。
いやちょっとイッた、かもしれない。でも出しきるには全然、ぜんぜん……足りなくて。
なんでなんで? とあせる俺は、でもわかっていた。イク寸前に、守屋が爪を差し入れてきたことを。先端の、ちょっとひらいている穴のところに。
痛くてビックリして、涙と悲鳴が出た……
「なん、で?……イケって言ったの、おまえっ……なのに」
もう……わけが、わからない。
守屋は、怒ってるんだよな? 本当はずっと俺のこと嫌だと、思ってたんだよな?
だから俺はいまこんなに恥ずかしくて、死にたいようなことをされている。
その証拠に、意地悪く笑ったりムリな要求をしたりしてくる。
でも、そんな言動とは裏腹に、手も指もくちびるも……泣きたくなるくらいやさしい。
いま、イクのをとめた声だって、それだけでイキそうなほどやさしく聞こえるのに。
――でも、やってきていることは容赦ない。
示談って、お互いが譲歩する和解とはちがう。加害側が要求や条件をのむものだ。だから俺の立場は弱い。守屋自身もそんな口ぶりだった。
なのに、なんで――
「……辻元先輩」
息がかかるほど近くで見つめてくる目許には、ほんのりだけど、熱がある。でもそれを否定するように、守屋はあいかわらず抑揚なく俺を呼ぶ。
困らせたいんじゃ、ないの?
じゃあなんで、やさしいの?
自分だけこんなにふりまわされて、悦ってあえいで。自業自得なのはわかっているけど、みじめで涙がとまらない。
それも、そのぜんぶが『示談のうち』だって言うなら、いますぐ舌を噛んで死にたいくらいだ。
――だから。
「なに、したら……満足なんだよ……っ」
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