24 / 171
1_23
「……辻元先輩」
「なんだよ……っ」
「これ……キツいですか?」
まだ入ったままだった守屋の指が、ゆっくりひらいていく。反応して縮まる穴を広げられる感覚は、すこし違和感があるのに。
「あ、ン……キツく、ない……け、どっ」
「じゃあ、これは?」
「ひ、うぁっ……なに……っ」
ぐるぐる、こねるように回されても……やっぱりキツくなんかない。
――むしろ、もうぜんぶ気持ちいい。
もっと広げてほしいし、奥にあるむずがゆさを掻き出してほしい。そうじゃないなら、ふさいで埋めて、ほしい。
「……挿れても、いいですか?」
「い、れる……?」
逸らしていた顔を戻すと、守屋と鼻先が触れそうになった。うっかり、くちびるまであたりそうですこし顎を引く。
いれる? 挿れるって、なにを……――アレをか!
まさかの要求に、思わず守屋の股間をチラ見した。部屋着にしているジャージは、すこし盛りあがっている。はっきり見えるよりリアルで、生々しくて、なんか余計にエロい!
うそ、ホントに……挿れたいのかよ……
心臓の音が、喉まであがってくる。ごくっと飲み下して、確かめるように、守屋に視線を戻す。
切れ長の目許が、さっきよりも熱っぽい感じがする。薄くひらかれたくちびるから漏れてくる息も、浅くて熱い……気がする。
肌も汗ばんでる見えるし。俺の心意を探るような視線も、なにかこらえているような眉根も、欲情している証の、ような――
男くさい色気に、頭のうしろがゾクゾクする。体中が痺れてくる。
心臓の音が、守屋にも聞こえているんじゃないかってくらいドクドク響いてうるさい。
どうしよう、どうしよう。
すごく……さわりたい。抱きついて、しまいたい。
「……いいですか?」
「あ、えっ……」
さわり、たいけど……
挿れちゃったら、挿れられてしまったら間違いなく今度こそ、あふれる――守屋をすきだって、言ってしまう。
「やっ……」
それは、ダメだ。もうすでに失恋は確定しているけど。そんなこと十分、わかっているけど……
わざわざ、言葉で否定されたくない。すきを、拒絶されたくない。
「イヤって言ったら……挿れますよ?」
「うっ……」
なのに、意地の悪い言葉でまた制される。
ともだちにシェアしよう!