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そんなこと言ったら、そんな言い方されちゃったら……どちらにしろ、挿れる選択しか残らないじゃないか?
いや――『挿れて』って、言えばいいんだ。
嫌がることがしたい、と守屋は最初にそう言った。だから『嫌がらなければいい』話なんだ。
でも本当は……挿れてほしいのに。反対の意味に――『挿れないで』に、なるなんて。
ひねくれた言葉。素直なのに素直じゃない言葉。
俺に、ぴったりの告白じゃないか。
「……もっ、守屋」
ずくん、ずくん。欲しい気持ちは、渦巻くけど。
その気持ちは本当だけど。精一杯の言えない『すき』を込めて、素直な言葉で嘘をつく。だって加害者の俺が、望みを叶えるわけにいかないんだ。
だから、これがきっと俺にできる責任の取り方。
さわりたいって。さわってほしいなんて、欲張った俺の罰。
「いれて……守屋」
そんなこと、守屋は気づかないだろうけど。
「……それで、いいんですね?」
「うん……」
「……わかりました」
短く息をついた守屋は、なぜかベッドの上に完全にのぼった。俺の後頭部に手を添えて、まるで壊れ物を扱うようにそっと押し倒した。
……――あれ?
横たえられた状態から守屋を仰ぐ。その俺に覆いかぶさるように、守屋はベッドに片手をついた。
「な、なにして……」
「挿れて、って……あなた、いま言ったでしょ?」
「い、言ったけ……どっ……ちょっ!」
ぐにゅっ、と――ほぐされて濡れている穴に、熱いものがあたる感触。かたく張り出した、先端の感覚。
「あっ!?……なんでっ、挿れようとしてんの……っ!」
俺の膝を抱えあげてねじ込んでくる守屋の腰を、必死に押し返す。それでも構わず進んでこようとするから、あせって爪も立ててしまう。
ダメ、だって。本当にダメだってば。ダメなのに体が勝手に……ひらいちゃう。挿れてほしくて――いっぱいに、してほしくて。
「う、ダメ……だ、め……っ」
「もう黙って……」
「ま、って……やっ――」
守屋が俺を塞いだのと、俺のなかに挿ってきたのは同時だった。
「ん、ぅっ……ん、ふ……っ」
舌に噛みつくように歯を立てて、なのにやさしくからめとられて。強引にきつく吸われるのに舌先でゆるくなでられて。
「キス……してほしかったでしょ?」
継げない息の合間に、守屋は浮かせたくちびるでささやいてくる。
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