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「もうゲーム大会おわるみたいですから、いま風呂行かないほうがいいですよ」  部屋に戻ってきた守屋は、例の風呂あがりの格好だった。俺が失神寸前の状態でいるあいだに、さっさと汗を流してきたらしい。  その平然とした感じも、話しかけてきた声もいつも通りすこしも抑揚がない。  俺は、余計に泣きたくなった。こみあげてくる現実感とそれに比例する恥ずかしさで、じわじわ涙目になってくる。 「守屋……俺を殺してくれ」  気づけば、そんなことを言っていた。 「……頭から布団かぶった状態で、アンタなに言ってんですか? シリアスですか、ギャグですか?」 「しっ……シリアスだよっ」  守屋が言うように、俺は頭から布団をかぶって丸まっていた。出しておけるところが顔しかないんだから仕方ない。下は裸同然だし、自分が出したものなのか守屋のなのか、両方なのかもしれないけど、とにかく白濁したアレでカピカピだし。隠さない理由がなかった。 「そうですか。でも断ります、俺は自分の手は汚したくないです」 「……じゃあ、自分で消える……おまえの前から、消える……っ」  俺はそこまで言って、涙をこらえるのをやめた。泣き出した俺を守屋はあいかわらず表情のわからない顔で、黙って見つめてくる。 「へ……変態でごめん、すきとか……言ってごめん……っ」 「……辻元先輩」 「ずっと、嫌だって思ってたの気づかなくて、ごめん……っ」 「……辻元先輩」 「だ、だから俺のことは死んだと思っ……わぁっ!」  いつの間にか近くにきていた守屋は、なんのためらいもなく一気に布団を剥いだ。ひらりと舞う布団の端をなんとかつかまえて、たぐり寄せようと俺は必死になった。  そのあいだに、守屋はベッドに腰掛ける。さっきの行為のはじめとおなじように、片手をついてじっと俺を見つめる。  ほんの数秒、そのまま黙って見つめあったけど、先に口をひらいたのは守屋だった。

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