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「ここもさわったら……どうなりますか?」 「んっ!……ん、どうって……言われても……」  布越しにさわられる感覚に、たぶん真尋さんは慣れていない。  俺は直接、真尋さんにさわる方が好きだ。だから大抵すぐにシャツは脱がすか、はだけさせる。 「答えなくてもいいですよ……見ればわかりますから」 「ん、ぅ……こんな、ときばっか……見るなっ」  でも真尋さんは、ちがうと思う。直にはさわってほしいだろうが、もっと“ゆっくり”してほしいんじゃないか、と。なんとなく。 「あっ……ン、なんかっ……変な、感じ……」 「……気持ち悪いですか?」 「ちが、くて……んっ……気持ち、いい……けど」  いつもよりも多分にやわらかく、かすかに指先でなぞっているだけなのに。尖りはじめた突起にふれるたび、肩と腰が敏感に跳ねる。  飛び出しかける声を抑えようと口許に手をあてて、もどかしそうに膝を内側に擦りあわせた。  気持ちよさをこらえるときの、真尋さんのかわいい仕草。  その仕草に、俺の“趣旨変え”はまちがっていないと確信する。 「でも……やっぱ変……んっ」  右手でもいじりはじめたとはいえ、あいかわらずふれてなぞるだけの刺激にふるえながら、じんわり涙をためた瞳が俺を見る。 「なんで、こんな……さわり、方……するんだよ?」  困ったようにさがっていた眉をすこし寄せて、目許にほんのり赤みを広げて、真尋さんはうかがうように俺を見上げてくる。  その恥じらう上目づかいに、戸惑いもいっしょに混ざっているのが見えて、俺は思わず笑い返した。  ――ただ同時に、焦燥感にも気づく。 「……お気に召してもらえたみたいですね」 「え……ちょ、こわいんだけど……っ」  また逃げ出そうとする身体をつかまえる。抱きしめて近くなった首すじにくちびるを落とした。

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