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「……今日は、意地悪しませんから」
――だから、俺を安心させてほしい。
俺への“好き”が薄れたとか、慣れたとか。そんなことは気のせいだと。
従順で健気な、エロい真尋さんで信じさせて。
「だから真尋さんも……いつもより素直になってくださいね」
耳許でささやかれた言葉に、俺はさらに眉を寄せた。
意地悪しない、ってなんだ。いつもより、ってなんだ……
言葉の意味そのままなのかもしれないけど、なんだろうこの反応に困る感じは――うれしい7割、こわい3割。
そんな複雑な気持ちの内訳が伝わっているのか、いないのか。当の守屋は見たことないくらいの、やわらかい笑みを浮かべてじっと見つめてくる。
そうかと思うと、ちゅっと音をさせて頬にキスをしてくる。軽く俺の頭を引き寄せて、髪にもくちびるを落とす。
なんだか、たのしげにじゃれつかれている……
あやしむ気持ちは拭えないけど、かわいらしいな……なんて思ってしまう自分がいる。こうやって微笑むときの守屋は年相応に見えるから、年上の俺としては安心する。
でもやっぱり変だな、と思考が戻ってくるのは否めない。
『趣向を変えてみませんか?』と言われたのはいまさっきだけど、守屋は朝からなんだか、いつもとちがっていた。
普段の守屋は落ち着いた顔と雰囲気そのままに、付き合っているとはいえ、むやみに俺にふれてこない。それは、他人の目が恥ずかしい、とかのカワイイ理由じゃなくてたぶん、関係がバレてややこしいことに――部屋を離されるとか、俺が寮を追い出されるとか――ならないように、なんじゃないかな。
そんな……用心深い守屋が。
朝から俺に「おはようございます」とキスをした。部活に出る前に「真尋さんも頑張ってください」と抱きしめてきた。
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