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いつもに比べたら、まだまだ全然弱い刺激のはずなのに。じわじわ攻め立てられて、すがりつきたいくらいのもどかしさで腰がよじれていく。こらえきれないトロトロした透明な液は、守屋の指にからんでエロい音ばかりさせている。
守屋は、形をたしかめるようにゆっくり上下させているだけなのに。それだけなのに、わざとじゃないのに。
ぐちゅぐちゅ……濡れてねばつく音が響く。自分の身体が我慢できないせいだから、どうしようもなく恥ずかしい。恥ずかしい、けど。
「あっ、ン、あっ……も、う……むり……っ」
はやく、この疼きをとめてほしくて――
「もり、やっ……も、りや……っ」
守屋の頬にくちびるを寄せて。まだ一向にはやめてくれない手に、自分の手を添えた。
「イキたいですか?……真尋さん」
こつん、と額を合わせて。間近に見つめながら、守屋は答えを求めてくる。
こんな甘えるようなこと、したことなんかないくせに……ほんと、どうしたんだろうか今日の守屋は。
その甘ったるさにほだされてはいるけど、口を開くか迷った。
こういう訊き方をしてくる守屋が、俺をすんなりイカせてくれたことは、ほぼない。
ここからさらに焦らされて、ほぐされて、挿れるまで。俺をイカせてくれないのがいつものパターン。なんて答えようと先が見えているから、口は自然と重たくなる。
「俺……意地悪しないって言いましたよ」
そんな考えが表情に出ていたのか、守屋はさっきそう言ったのと同じように微笑む。
切れ長の目元が、やわらかく細められて。伏せた睫毛が熱を帯びて、普段は無愛想なくちびるが、ふわっとゆるやかな曲線を描く――
そんな、ためいきが出そうな微笑みで。
俺の答えを促すように、握りこんでいる先をゆるくねっとり、上下に扱いてくる。
「あっ、んっ……も、もりや……っ」
「……名前で呼んでください」
「ン……せっ、誓……」
「……なんですか?」
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