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「蓮池さんとも仲がいいみたいだし」 「うぁっ! ひ、ぅ……ゆび、そん、な、っ入れ……っ」  焦らさずに扱きたてていたのはこのためだったのか……あふれさせた先走りを潤滑剤にする指が、ためらいなく粘膜を進んでくる。 「たのしかったですか?」 「あっ、あっ……ン、っ」  そろえた指が、泡立つくらいの出し入れを繰り返す。奥を遠慮なく抉ろうとする。守屋のを挿れられているときと、まったくおなじ動きだから――これは慣らすためなんかじゃないのに――意識しないでも、合わせるように腰が揺れる。  唯一、やさしかった声が、だんだん感情のない声になっていく。  脈絡がない言葉で、守屋はなにかたしかめようとしているんだと思うけど、俺が答えることをきっと求めてない。    だからわからない。……このままじゃ、こんなんじゃ、ぜんぜんわからない。  でも酷くふれられていることは、わかるから。  そんなに悪いことを、俺は守屋にしたのかな。それなのに、なんでなのかわからないなんて本当にダメなヤツじゃん、って。  軋む胸の奥から涙が、あふれて止まらない。 「……っひ」  尻の肉をつかんだ手が、そこを一気に左右に開く。粘膜が空気にふれて、さらされるつめたさにそこも身体も、ぎゅうっと縮こまる。 「俺がいなくても……真尋さんは――」  挿ってくる……と、思ったのに。守屋は言葉も動きも、そこで止める。  お互いの浅い呼吸が、かすかに響いて。声にならない息づかいだけが、繰り返し繰り返し、吐き出されては消えていく。 「どうして、」  ふいに――吐息が近くなった。  噛んで吸われた痕が痛む背中に、濡れてやわらかい守屋の髪が落ちてくる。 「……嫌がらないんですか」  前髪からのぞく通った鼻梁と、噛みしめるようなくちびる。夏陽に灼けたしなやかな身体がなにかをこらえるように、強張る。  振り返った肩口から見える守屋は、俺の涙を浪費させるほど、せつなく映る。

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