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混じりあう息を塞ぐように、またくちびるを重ねられる。からんでくる舌にためいきがこぼれるけど、それは守屋もおなじだった。
どうしようもなく苦しいのは――
うれしさと気持ちよさにとけてなくなりそうな胸なのか、うれしいのにおなじだけ放してほしい気持ちをこらえている喉なのか、わからなくて。
いつもなら背中にまわしているはずの俺の手は、シーツをつかんでいる。
だってこのキスのされ方は、昨日みた夢とおなじで。その夢のなかの――俺じゃない――誰かを、いまの俺は知っている。どうしたって思いだす、どうしたって考える。
「たった1日なのに……」
「んっ……」
まだキスはやめないまま、頬にそえられていたてのひらが、首から鎖骨をなでていく。胸も腹も、ふるえはじめた腰も、ふれられる感触がそのあとに甘く残っていく。
「俺はこんなに……真尋さんがほしいです」
片手で器用にボタンをはずして、はだけたシャツの首すじに吸いつかれて。なであげながら戻ってきた手が、胸を探る。擦られる。
「っふ――」
こんな、さわり方も――と思うから、声は出したくなくて。
口に手をあてて押さえ込んでも、
「あっ……なんでっ」
「だって、声も聞きたいですから」
そう言って、伏せた目のやわらかい笑みで、覆う手の指と指をからめてシーツに縫いとめられる。
「……真尋さん」
頬にも耳にも、鎖骨にも手の甲にも。俺を呼ぶくちびるを落としながら――
「すきです、真尋さん」
――守屋はやさしすぎるくらいに、俺にふれてくる。
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