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 言葉も息づかいも、熱のある声も細めた目許も、守屋のなにもかもが……俺に伝わってくる。それは、息をするのも忘れるくらいに気持ちいい。    気持ち、いいのに――求められるって、こんなに苦しいものだったっけ。  俺はこんなに、誰かにふれたいと思ったのもふれてほしいと思ったのも、“はじめて”だから。だから、勝手に思っていたんだ。自分に都合よく思い込んでいた。  守屋もきっと、はじめてだって。俺が守屋の、はじめての人だって――勘違いをしていた。  うぬぼれていたのが恥ずかしい。本当に俺、なにしてるんだろう。  単純に信じていたのは、きっと俺が守屋を好きすぎるからだ。だから、全然気づきもしなかったんだ。  いま俺を想うのとおなじ深度で。いま俺にふれているのとおなじ温度で。守屋に好きになってもらえたのは、俺だけじゃない―― 「……ご、めん……」 「……真尋さん?」  意思の力で、ふるえる指を引き剝がす。 「ごめん……守屋」  俺は、守屋のぜんぶがほしいワガママなやつだから。“俺だけのもの”でいてほしいなんて、いまさら無理な夢をみるやつだから。 「はなし、て……さわらないで」  そんなの、耐えられないんだ。

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