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 だから思わず、 「……守屋」  背中をポンポンたたいて、頭をなでて、ぎゅうぎゅう抱きしめて……なんて、こどもにするようなこと、してしまう。  一瞬、硬直したのが伝わってきたけど、守屋は肩口にも首すじにも、ぐりぐり擦りついてきた。  甘える猫みたいなそれに、荒ぶる気持ちが言っちゃいけない形容詞を弾き出しそうになるけど、 「……冷たい」  濡れた髪とひやりとする頬とが俺の鳥肌を誘って、そんな感想に変わった。まだ乾かない短い髪からは、かすかな塩素のにおいがする。 「もう水温さがってきてますから……」  擦ったらあったかくなるかな……と、思って頬をなでてみる。守屋は困ったようにちょっと笑った。  でも、それはほんのすこしの時間で。俺の手に、自分の手を重ねて。見つめてくる瞳を、甘く緩ませる。 「真尋さんは、あいかわらず……あったかいですね」 「そ、そう……?」  身体の内側から、なつかしい欲求が生まれてくる。訴えるように心音が急かす。  守屋と俺は、 「真尋さんの体温……いただいてもいいですか?」 「……ぜ、ぜんぶ……どうぞ」  いまきっと――おなじ気持ちだ。
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