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「……目、閉じちゃうんですか?」 「ん、だって……ぁ、けて、らんな……ん、ン」  角度を変えられるたび、抱きしめる力に強弱が生まれて、くちびるが浮くたびに体はじくじく疼いて、ためいきがこぼれていく。  からめた舌をじゃれるように吸われる。舌の先で擦りあわせてまたからめ取られて、のくりかえし。後頭を抱えられた深いキスに、送られる唾液は飲み込めないから顎をつたって落ちていく。 「ふ、ぁ……んっ……」  てのひらが首すじをなであげるし、背中から腰と尻までを曲線の通りにたどりおりる。 「……ねぇ、真尋さん」 「ん、あっ……」 「まだ……キスしてなでてるだけですよ」  布が肌に擦れる感覚も、それを越えて伝わるてのひらの熱も。触れてくれているとこから内側へと、俺の中にとけていく。 「……そんなに気持ちいい?」 「あ、ん……わ、笑うな……っ」  ほんとにそれだけしか、されてないのに。濃いめのスキンシップ的ではあるけど、でもその程度のことなのに。なんで、こんな、涙が出るほど気持ちいいのっ!  くちびるってこんなにやわらかかったっけ? てのひらって、なでられるってこんなに、くすぐったいものだっけ? 守屋にさわられるって、こんなに……こんなにっ! 「……ちょ、待って」  腰をなでている手を思わずつかむ。力の入らない手で、守屋の肩を押し返す。 「……し、心臓っ、くるしい……」  涙目の訴えを、守屋はやっぱりやわらかく見下ろしてきて、 「無理です、かわいいから」 「ん、ぇう……んんっ」  腰が折れるほどぎゅうぎゅう、抱きしめながらまたキスを再開する。熱い吐息のあいだで名前を呼びながらなで回す。  ずくずく、嫌でも快感を煽られる。こらえたいのに、腰が揺れる。擦り寄ってしまう……  しなかったのは、たった2日のはずなのに。中断と気まずさに焦らされまくったせいなのか、すごく久しぶりに感じてしまう体は、戸惑うくらいに感度が暴走気味。  そのうえ、 「真尋さん……耳まで真っ赤」 「う、ぁ……だっ、だめ……んぅ」  まるで、はじめてした時みたいに――……恥ずかしい。

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