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――だって。
男のアレをくわえているクセに、目を伏せる守屋は悔しいけど、カッコいい。ふいに見上げてくる視線は鋭くて熱っぽくて、俺の感じるところぜんぶをいじろうとしているのがわかるから――すごい、ヤラシい。
欲しがられているのも興奮しているのも、そこにある熱量から伝わってくる。
まあ、俺いま自分でシャツを押さえてるワケだし……完全におねだりしてるポーズだから、守屋がたのしいのは当然かもしれない。
「は、ンっ……も……い、いっ」
吸いあげられるたび、腰が痙攣して背中がズルズル下がる。入らない力で踏ん張っている太腿にも守屋は時々くちびるを寄せてくるから、まともに立っていられる自信がなくなってくる。
「ん、っ……やだ、もっ……イカせる、気ない……だろっ」
「ないですよ?……まだ、ですけど」
守屋がくれるくちびると舌の刺激は射精感を煽るようなものじゃなくて、ねっとりゆっくり、知られすぎている弱い部分ばかりを狙ってくる。ただただ“気持ちいい”だけを与えられて、そろそろ俺はドロドロにとけるんじゃないか……と思う。
「も、無理……ずっと……気持ちい、いだけ……とか……むりっ」
腰のあたりで澄ましている顔に涙ながらに訴えても、見返してくる熱のある目許がたのしそうに細められるだけで、追い立ててくれる素振りは全然ない。
あとほんのすこしでも強く吸いついてくれたら、頬をすぼめてくれたら舌でなぞってくれたら、くちびるをきつくしてくれたら――イケる、のに。
焦らされているのとはまたちょっとちがう、やさしい意地悪に翻弄されている。
「真尋さん、って……俺がはじめてなんですか?」
「ん、なに……っひ……ゆっ、ゆび入れ、んな……あっ」
問いかけの意味を理解したくても、うしろの粘膜を割ってくる指に、思考は否応なく乱される。指先が器用にじれったく動いて、感じるところを擦られて。勝手に腰がよじれていくし押しつけるように下がっていく。もうほんとうに、立っていられない……かも。
「俺が……真尋さんの“はじめて”の人?」
すこしだけくちびるを浮かせて、でも舌先でいじるのはやめないまま、やっぱり器用に守屋はきいてくる。
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