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「それ、は……ぅあっ、ひろげ、んな……っ」
答えようとは思うのに、入っている指がなかでゆっくりひらいていくから、まともな言葉なんて出てくるワケがない。ぬちぬち、濡れた音で出し入れされて、あえぎしか出せない。
というか、答えさせる気ないだろ! 聞かれていることがことだから、黙っていたいような気もするけど……
「そんな、のっ……わかる、だろ……っ」
「ちゃんと真尋さんの口から聞きたいです」
「なっ――あぁあ、ひっ、でちゃ、でるぅそれ……っ」
深くくわえ込まれたまま、粘膜のなかの指にグリグリ突き上げられるし、抉られる。なのに、くちびるにも舌にも締めつけられてあふれ出るのを塞き止められて、無駄にガタガタ、ロッカーを揺らすだけにおわる。これは、催促以外の何でもない……よな。
「……は、はじめて……だよ」
座り込みそうな体が、気持ちよさ恥ずかしさに侵されているせいで小刻みにふるえる。支えてくれている守屋にはそれが全部伝わっているけど、もう仕方ない。
「そんなの……わかってるくせに……言わせんなっ」
ちょっとプライドも傷つきそうな告白に、さすがに俺はシャツを握っていた手で涙を拭った。
「……俺も、はじめてですよ?」
胸元から見上げる守屋の言葉に、まばたきを返す。
ちょっと……言ってる意味がわからない、と俺は眉を寄せた。
「……バカにしてんの、うそつきなの」
「まあ、ちょっと意味がちがいますけどね」
「じゃあっどういう……んっ、んんっ」
馴染ませるようにやわらかく広げていた指が抜けていく。立ち上がるついでに、守屋は俺のことも抱き起こした。
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