127 / 171

4_63

「なっえっ、エロく、ない……っ」 「エロいでしょ、こんな……俺にケツ突き出して、腰振ってんですよ?」 「うぅ……おまえ、さ、いて……ッひ、あっ!」 「それに、俺が動きやすい……です」  焦らすようだった動きが一瞬で突き上げる勢いに変わる。強打されているのに、またじわじわ甘くなって熱くなって。こわいような気持ちいいような感覚に苛まれる。  押されて、擦られて、ひらかれるたびに――腰にもその奥にも、甘くて鈍い痺れが広がって……それが体ぜんぶに伝わって。頭の中も感覚もやわらかく……トロトロこぼれるみたいに背筋を伝ってとけていく。  こんなの『きもちいい』以外になんて言えばいいのか、もうわからない。 「……俺しか、知らないんですよね?」  きゅうきゅう、締めつけているそこへ押しつけながら。守屋は熱にかすれた声を耳許に落としてくる。 「耳が弱いのも……指より舌が好きなのも……」  抱きすくめるように引き寄せて、ロッカーに置いてる俺の手にてのひらを重ねて、指をからめて。 「キスが好きなのも……」 「ん、んぅ……」  顎をとる指にくちびるをひらかれて、塞いでくる守屋にからめ取られて吸われて。  ひねるように向けているからじゃない、苦しいためいきがこぼれ出る。  とけあう息が、触れあう熱が……お互いを満たしていく。 「真尋さんが……こんなに感じるのも俺だけなんですね」  これ以上無理なほど分けあって、満たしているはずなのに。確かめるようなその鋭い目許には、まだまだもっと欲しがる熱があるから。 「……誓、だけ……」  恥ずかしい――より、なによりも。 「俺、誓しか……知らない。こんな、の誓だけにしか……ならない」  ――ただ、すきだと思う。

ともだちにシェアしよう!