135 / 171

4_71

 一瞬の浮遊感に悲鳴が出かかったくちびるはでも、噛みつくように塞がれた。 「んっ、ぷぁっ……っ、だ……め、これっ奥、すぎ……っ」  吸い上げるのもからめとるのも、舌が引き抜かれそうに強引で。必死に引き剥がして息を吸ってるのに、ねじ込まれている奥で内臓をぐいぐい押されるから、また息が詰まる。 「こんな、締め上げながらそんなこと言われたら……」 「んぅ、ぇ……揉まないでって、言って……や、だっ……ひ、ンっ」  てのひらが尻を集めるように潰すから、粘膜がきゅうきゅう締まっていく、勝手に締めつける。なかにある形まではっきりわかりそうに、からみつく。 「加減とか……余計に、する気なくなるんですけど」 「っ……も……ともと、する気ないの、かよ……っ」 「ないですよ、そんなの……はじめから」  逃げる腰もよじれる背中も両手でしっかり囲って、奥の奥まで押しつけながら、胸まで歯でいじられて。  余裕のない息遣いと引き寄せる力は、俺を離す気なんてなさそうだから、焦る気持ちもあるはずなのにぞわぞわ……煽られる。このままだと気持ちいい前に死ぬんじゃないか――と、本気でよぎる。  言う順番を間違えた、ゼッタイ…… 「ちょ、っと待って……っまだ、してほしいこと……ある、から」 「……なんですか、そろそろ我慢も限界なんですけど」  鎖骨に噛みつく守屋は、熱っぽい目で鋭くにらみ上げてくる。焦れた欲求ムキ出しのそれに、鳥肌がすごい立つけど…… 「い、言わないから……」  そのまま首すじも舐めてくるし、腰をつかむ両手はちょっとずつ揺らしてくるし。 「俺がはじめての人が……いい、とか……もうワガママ言わないから」  我慢なんて全然してないじゃないかっ、と泣きそうになりつつ……実は俺もじりじり腰が動くけど。  ――まだ、守屋からは聞けていない言葉が、ほしい。 「俺のこと……すき、って言って……?」  心臓が重く速く鼓動して、ためいき混じりになるからまた聞き取りづらくなりそうだから、さっきの守屋がしたように……こつりと、額を寄せてつぶやいた。

ともだちにシェアしよう!