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 極上の笑顔で言われるから、なんかもうただ呆れる。性格悪いよりは、守屋のこれも末期だろ。 「でもまあ……この3日間は、それどころじゃなかったですけどね」  たのしげな笑みを残しつつ、守屋は俺からすこし視線を外した。 「そうじゃなくても、最近俺以外と話すのにも慣れたみたいで……ちょっとイラッとしてんのに」  微妙な音量でつぶやかれる言葉に、さっき部室で聞いた言葉を思い出してしまって、じわじわニヤける。  やさしかった理由の何割かは、きっとこのかわいいヤキモチだ。そういえば、前にも変にやさしくされたことがあったなーなんて思い当たる。  見た目も雰囲気も俺よりずっと大人っぽいくせに。中身は意外にこどもっぽいということを俺はこの1ヶ月で誰よりもよく、知ったような気がする。 「……も、りやって結構……俺のこと、すき?」  そしてそれは俺だけの特権、なんだと。守屋にとっては不本意だろうけど、思ったりする。 「……あれだけ言ったのにまだ欲しがりますか」  かわいいと思う気持ちを多分に含んだ俺の意地悪な顔に、守屋は片眉を上げて唸る。  それでも、夏色のあたたかいてのひらが、ふわりと俺の頬を包むから。  やっぱりすきだな……と、思う。 「すきですよ……きっと真尋さんが――」  すごく、いいことが聞けそうだったのに、 「辻元ー! 延長を祝して個人的に邪魔しに来たよー」  勢いよくドアを開けて現れた峰の一言に強制終了させられた。ひらいたドアが廊下側の壁に跳ね返ったみたいで、衝突音も響いてくる。 「ひぃっ……峰! な、どっ、なにっ!」  ちょっと、こんな距離が近いの、変に思われる!  これ絶対バレるやつ! と、俺はあわあわあせっているのに、守屋は全然動じていなくて。  なぜか峰を見つめながらゆっくりと手をはなして、なぜか悠然と微笑んだ。  そして峰も鷹揚に微笑み返す……て、なにそれ。なんの意思疏通したの。

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