158 / 171
_
峰からもらったアメといっしょに、きっと1週間分の我慢もとけたんだと思う。
だからこんなに――てのひらから体温がつたわるだけでも、息がくちびるに触れるだけでも、視線がただ肌の上をなでるだけでも気持ちがよくて。だからもう、守屋のことしか考えられなくなっているんだと、思う。
「ん……ぁ、くち、のなか……きもち……っ」
「……ほんとキス好きだね、真尋さん」
「んっ、ん……すき、んぅ……ずっとして?」
なぞるような絡め方も、持っていかれそうな吸い上げ方も、舌先でつながったまましゃべられるのも、全部。息継ぎするのもおしいくらいに気持ちいい。けど、このままだとキスだけでイッちゃいそう。
「さ、わって……こっちも、して……っ」
だから、胸だっていつもみたいにくちびるで吸ってほしくてシーツから背中が浮くくらい反らしているのに。
「あ、ぁ……ここ、も……さわって……っ」
勝手に、トロトロあふれちゃってる先も擦ってほしくて。ちょっと自分でなでたりもしているのに。
「待って真尋さん……あとでするから」
「やっ……なんでっ……そ、こ……ばっか、あっ」
ヘッドボードから出してきたローションをベタベタに塗られて「一気にいけそうだね」って、最初から指3本入れられて。粘膜ばっかり、ぐちゅぐちゅいじられてる……
ぬるぬるした指でなかをゆっくりひらかれるのも、腹のほうに押し上げてグリグリ潰されるのも掻き出されるのも、もっと深くしてほしい。自分から腰を揺らしちゃうくらい、すごく気持ちいい。でもだからなおさら、他もさわってほしくなるのに。
「や、だっ……お、ねがい……誓っ、いじわる……しないで」
涙で揺れる視界から見上げたら守屋は指を抜いてくれたけど、俺の膝を大きく割って自分の腰を捩じ込んでくる。
脚をひらかれるその感覚だけで、されること期待してあえぐみたいに声が漏れる。
でも、なんでさわってくれないのってせつなくて。すこしくちびるを噛んだら、浅く息する守屋のくちびるが重なってきた。
「……先に、挿れさせて? 俺も結構、ヤバいんです……」
余裕のなさそうなかすれた囁きといっしょに、濡らされた粘膜にぬるつく先端が擦りつけられる。
「ン……っ」
あてがわれてるそこも、はやくひらかれて突かれたいなかも、待ちきれなくてヒクついてるのが自分でもわかる。
「真尋さんだって……出すなら、なかがいいんでしょ?」
伏せた熱っぽい瞳で、見透かすように守屋は笑う。
意地悪な優しさに、待ちつづけてる奥からも締めつけられる胸からも、欲しがる音が聞こえそうで。腰から背筋をつたってくる快感に、こらえきれないためいきが漏れる。
「あっ……なかっ、がいい……いれ、て……っ」
言いおわる前には、もう先がめり込んでいて。
「はっ……すげ……きつすぎ」
苦しそうなのに、気持ちよさそうに……細めた瞳で見つめられながら。強引に一気に最奥まで突き込まれた。
「ん、はぁ――あッ……ま、って、ぃくっ……もうい、っく、あっあ!」
はず、なのに――押し返すくらい締めつけてる襞を割られる圧迫感と、いままででいちばん気持ちいいその、熱量に――
「んぁ、あっ……はぁ、いくぅっ……でちゃ、あ……ン」
「……もう、イッちゃってるよ真尋さん」
自分の意思なんか関係なく、たったの一突きでイカされちゃって。なのに、いつもあるなにか抜け出ちゃったような疲れはなくて。まだ……足りないって、全然こんなんじゃ満たされないって、身体が疼いて訴えてくる。
もう奥まで届いてるのに、これ以上入らないのに。欲しくて欲しくて……打ち込まれてる守屋の腰に、脚を絡めて引き寄せる。先走りの粘着質な音と肌を叩き合う音が、混ざりあうその音すら気持ちいいを煽ってくる。
いまさっき出したばっかりだっていうのに。1週間分の『エロいこと』を取り戻そうとする身体は、熱がさがる気配なんてなくて。
『まだ』と『もっと』で守屋を欲しがるから。ぞわぞわ、ずくずく……ドロドロに、腰も腹のなかも、思考もとろかせていく。
「んァ、あっ……誓っ、せ、い……っまた、俺……っ」
「すごいね……真尋さんのなか、ずっとビクビクしてるよ?」
疼きっぱなしの奥をえぐられて擦られて。「ずっとして」って言った通りに、このままくっついちゃうんじゃないかってくらいキスされて。
「それに……ここもまた、あふれてきちゃってるね」
「ンあ、や……ん、それだ、めっ……ぞくって、する……っ」
こらえても我慢しようとしても、先からあふれてつたって、なぞる守屋の指も汚していく。
やっとさわってもらえた身体は、なにをされてもなにを言われても『きもちいい』しかなくて。それにしかつながっていないのに、やっぱり全然足りないから。
「こっちも、してほしいんだっけ?」
わざとだって、焦らされているんだって、わかっているのに。目許に浮かぶ熱が、捩じ込んでくる力強い腰振りが、俺のこと求めてるのもわかってしまう、から。背筋をふるわせる快感にどうしたって従順になる。
「し、てっ……ここ、吸って……なめ、てっ」
もっともっと、俺のこと欲しがって、もらいたくなる。
膨らんだ敏感な先をくちびるに挟まれて、弱めの刺激で吸いつかれて。ざらつく舌も巻きついてきて、そのまま包んで吸われて――
「……噛まれるの、ほんとは好きでしょ真尋さん」
「あ、っ……すき、噛まれ、っの……すき、っ」
潰れない程度の甘噛みされて、鈍い痛みを濡れた舌でまたくすぐられて。それに悶えてるあいだも意地悪なねちっこい腰の動きで、奥の奥だけ狙って突き上げられる。
「……は、すげー締まる……もう、イク?」
「んっ、イ……ッく……も、あっ! また、ンぃ、いっく――んぅっ」
あえぎも唾液も、漏れでる隙間がないくらいぴったり重なる深いキスで。口のなか掻き回されて。
「ん、んぅう……だ、めっ……そんなキスした、ら……いくっ」
「いいよ、イッて?……俺のこと、気持ちよくして……真尋さん」
絡めていた舌で、俺の口端からこぼれた唾液を舐め取りながら、いつもよりかすれてる……低めた声でねだられる。
「あっ――やっ! ふか、いっ……からっ、とま……って、ン……ッ」
片足を肩に掛けられて息がつまるくらい、押し上げられる。あたっている奥が潰されて苦しいのに、
「ここでしょ?……奥に、俺の出してほしいって言って?」
仰け反っていく喉にも顎にも短くキスを落とされながら、聞いたことのない甘えた声でせがまれる。
「んっ……ほ、しい……だ、してっ誓のっ……なかに、だしてっ」
きゅんきゅん痙攣してるなかに、押しつけられてる奥に、
「ん、あ……でて、るっ……せい、の……おれの、なか……に」
どくどく、熱いのが広がっていく、その感覚だけで。
「なかに出されてイッちゃうとか……どんだけエロいんですか、真尋さん」
「あ……だめ、うごい、ちゃだめ……また、いっちゃう……あ、ンっ」
――でも、やっぱり。
「まだ、足りないんでしょ?」
「ん、もっと……俺のこと、もっと……イ、かせて……ぐちゃぐちゃに、して……っ」
それでも欲しがる身体は聞き分けないくらい『エロいこと』になってる――
ともだちにシェアしよう!