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 ――なんて、ちょっと呆れた感じで守屋はつぶやいてきたけど。  早々に背中のジッパーを下ろされて肌に吸いつかれて。やわらかく、くちびるでなぞりあげられて。 「ん、あっ……待って、いっ、いっしょに……するの、だめっ」 「なんで? そのほうが気持ちいいでしょ?」  たわんだワンピースの隙間から、ふにふにクリクリ胸も潰されるし、もう直接触られてる下も、ぬちぬちゆっくり扱かれて先を撫でられて…… 「真尋さん、汚れちゃうと困るから……ここ自分で持って?」  言いおわる前にさっさと捲ったスカートの裾を握らされる。 「でも……もうすごいあふれてきちゃって、シーツまで垂れてるから……」 「や、あっ……さきっ……撫でたら、出ちゃ……っ」 「下着は脱いでおきましょうね?」  なんて……ちょっと珍しいなって思う。いつもなら、こんな最初からいろいろ触り倒してこないし脱がさないのに。 「すげぇな……ガーター、ちゃんとボクサーの下になってる。あの人らしいですね」  言いながら、守屋は腰骨から太腿までをてのひらで辿るように撫でおろす。這いおりる温度と感触に肌の内側よりもっと奥のほうから、ぞわぞわ震えと熱が走る。 「っ……あ、ぁっ」  さっきも思ったけど――ただ、てのひらがあたるだけでも疼いてる、気がする。ガーターつけるときに、峰にもおなじような触られ方したのに。触るのが守屋だと、なんか何でもっていうか。たしかに前に、守屋にしかこんなふうにならないって言ったけど。それにしたって、反応が従順すぎるだろ。うしろから包むように囲まれて、耳許でずっと声が聞こえてるのもある気はするけど……でも、でもっ! 「感度良すぎ……峰さんに触られてもそんな声出したの?」 「だっ、出してない……て、か……き、気持ち悪くてゾワッてした……」  からかうような言い方だけど、耳許に響く声はちょっと固く聞こえるから怒ってる……のかな? って反論するのに、 「あっ、はぁっ……ん、ンっ」  外腿からストッキングの中にてのひらが入ってきて、丸みの通りに内腿まで撫でられた。それでおわるのかと思ったら、行き着いたキワドいとこを揉みしだかれる。 「……いまのは?」 「っ……き、きもち、よくて……」  不意打ちなのに、甘い声出ちゃうし。着せ替えられたときとはまったく比べものにならないくらいの気持ちよさと――我慢できない疼きだから。 「あっ、も……ほんとに俺……誓しか、ダメな身体になってる、と思う……」  いまさらながら、本当にそうなんだなと思い知る。 「……知ってます」  けど、やっぱりそんなこと……守屋は全部、お見通しみたいだ。  だったらもう隠してもムダだな――って、心も身体も聞き分けよくなっちゃうから。 「ンぅ、ん……は、ぁ」 「ここ、掴まって……腰上げて?」  重なってきたくちびるからの絡まる舌も唾液も吐息も、まだ味わってた途中に言われても、 「ん……こ、これでっ……いい?」  ヘッドボードを片手で掴んで、膝立ちになって――自分から尻を差し出すような格好に――言われた通り素直になる。けど、やっぱ不安にもなるから守屋を振り返ったら、 「あっ……な、なんでっ」 「ごめんね、邪魔だから」  意地悪く笑いながらバサッと、スカートを背中の真ん中よりちょっと上まで捲られた……  突き出すようにしてるだけでもアレなのに、さらなる丸出し――抗えないってわかっても、じわじわ顔も身体も赤く熱くなってくる。  部屋を照らすやわらかなオレンジの光は、身体の輪郭も肌の色も滲ませてくれるけど、でもだからなんか……雰囲気がありすぎる。  ガーターベルトとかそのストッキングなんて、色っぽいおねぇさんが着けてるイメージしかない。それに大体そのおねぇさんは『エロいこと』してるっていうか……想像させるし。  前屈みなこの体勢は、ガーターベルトとストッキングを引っ張りあって、むにって尻のやわらかいとこにストラップがちょっと食い込むような。危うい角度で微妙に擦れてるし…… 「……これ、あたってるけど平気?」  それを知ってか知らずか……いや、たぶんわかってて守屋はあえて聞いてくる。もちろん、ストラップの通る肌を指で撫でおろしながら。 「う、ぅ……へ、平気っ、だから……っ」 「痛くないの?」 「ん……あ、ぁそんなとこ、ん、っ……触んない……で」  丸みの下の、キワドいくすぐったいとこも、腿の内側も、焦れったく指先でなぞりながら。 「ゾクゾクしちゃうから?」 「わ、わかってんならっ……指入れんなっ、なぞ、っん……ない、でっ」  最終的に、ストラップと肌の間に指突っ込まれてバチンってされるし。それどころかてのひらまで入れて尻を鷲掴まれるし揉まれるし。 「あっあっ……も、なんでいつも、揉むんだよっおまえはっ」 「俺が好きだからです……真尋さんも好きでしょ?」 「す、きじゃない……っや、あ、ンぅ……変態、めっ」 「……真尋さんがね」 「ちがっ……俺っ、じゃないっ、やだっ……ン、あっ」  たのしそうに遊ばれるくらい……ビクビク、ぞわぁって、変な感じがする。なんか全身がむず痒いような。ムダにごっくん、て唾飲んでしまう……  そんな、素肌な尻とレースに包まれたそこらへんは、全部いつもより守屋の顔の近くにあるワケで。いろいろ恥ずかしくて涙目にもなるし、頭から耳から湯気出そうだ。  前もちゃんと上げてないとダメですよ、って釘刺されるし。ベッドに突っ伏しちゃいたいけど、そんなことしたら余計に尻突き出しちゃうし、もう目も当てられない…… 「恥ずかしい?……でも、ここ慣らさないとつらいでしょ?」 「んん……っ」  つっぷり入ってきた指は、ゆっくりじっくりなかを進んで。いつの間に用意したのか、ローションを塗り込むように……ぐりぐり、なかの壁を掻き回す。 「真尋さん、気持ちいいとこ……どこですか?」  ストラップいじられて、はやくはやくって疼きはじめてたとこを探る……よりは、避けるような指先と―― 「んあっ、そこぉ……ン、いま……っ、さわ、ったとこ……っ」  ――不意の的確さ。 「……ここですか?」  それとはまるで裏腹な耳許のやさしい声は、肩にも背中にもくちびるを落とす。 「っち、が……あ、ンぅ……そこじゃなく、てっ……」 「じゃあ、ここらへん?」 「んっ、ん……そこ、やっ……もっと……ぉ、奥がいい、おく、ぅんッ」  気持ちいいのにもどかしくて、擦って欲しいのに逃げられて。どんどん疼きは広がって響いてくるし、なかも背骨もとろけてくる。追いかけて、よじって……腰がゆらゆら揺れるたびに、チュールの摩擦が騒ぐ音がする。ズルズル下がって肌をつつく。  ぶるぶる震えてる太腿をぎゅって閉じたくて力が入るから連動するガーターのストラップは食い込んで……また変に甘くヤラシく、ゾクゾクする。 「……真尋さん、ちゃんと押さえててください」 「んあっ……あ、ンっ……先、こす、っちゃ……だめ……っ」  なかでぬちぬち出し入れしてる指から、十分その葛藤がわかる守屋は、シーツにシミつくるほどダラダラ垂らしてる先も煽ってくる。 「やっあっ……出ちゃっ……ンぁ、でるっ、からっ」  勝手にきゅうぅって腹の奥から吸いついちゃって、イキそうな腰のカクつきになるんだけど。そんなの、錯覚だから―― 「あ、やぁ……もり、やっ……あっ」 「……『誓』でしょ?」 「ン、せ……誓、せい、ぃ……も、ぁんっ……む、りっ」 「このままする?」 「や、だ……ぎゅって、したい……から」  ゆーっくりやわやわ抜いた指先で、開いて閉じてしちゃう粘膜をまだぬるぬる……いじめられても、 「したいから?……どうするの?」  震えてる身体を宥めるどころか、跳ねさせるくらいの低い掠れた囁きと、首筋から耳裏まで這いあがる濡れた舌先に。今度こそ、身体は従順に求めることを選ぶから。 「んっ……こっちからして、ここに、っして……奥、までっ……して」  ただ、はやく……気持ちいいって思いたくて、思ってほしくて。 「真尋さん、自分がいま……どんな格好してるかわかります?」 「あ、足……自分で抱えて……ひ、ひらい……てる……」 「うん、すっげーエロい……そんなに欲しいの?」  心も身体も、守屋に縛られてるものは何もかも―― 「ほ、しい……俺の、こと……誓で、いっぱいに……してっ」  ――それだけになる。  そんな俺に満足したように、 「じゃあ、それ脱いでください」  いつもどおり――意地悪に微笑む守屋に、 「えっ、わっ」  スポーンっと上からワンピースを脱がしにかかられて。ベッドに寝転んでるとはいえ、思わず綺麗にバンザイした。 「ちょ、待って……なっ、やだ、やっ」  待て待て待て! この、格好はさすがに!  だって俺がいま着けてるのは、ガーターベルトとストッキング――のみ。 「みっ、見んなッ……やだ、こんなのっ、はず、恥ずかしすぎるっ」  全身真っ赤になってるのは、嫌でも自分でわかる。きっと白いガーターとの対比はそれを強調するくらいだ。だから、 「おまえほんとにっ……最低だッ」  ニヤついた口許で黙って見下ろすその意地悪な視線から庇うように、ぎゅって膝も閉じるし、穴も手で隠して顔も腕でとにかく覆う。なのに、まったくそんな抵抗は意に介さないのが守屋という男なので。 「いよいよ倒錯的な感じですけど……」  膝裏を押しあげて無理矢理開いたその場所に、当然のように……ずぷずぷ割り入ってこられる。 「あ、やぁ、ん……はぁ、ぁん、ンっ」  ――のを、受け入れちゃうのが……俺という可哀想な子なのも毎回のように思い知る。 「見ちゃいけないもの見た、つか……」 「ん、あっ……そ、れぇっ……ゆっくり、きもち、ぃ……んっ」  浅いところと弱いところを繰り返し擦って抉る腰振りに、密着してくる耳許の吐息が追加されて、なかはトロトロ甘くなる。  ねだるように首に手を回せば、応えるようにすぐくちびるが落ちてきて、 「ん、ふぁ……ン、はぅ、ッ!……ひぅ、んぅう!」  塞がれたまま、奥まで突き込まれて何度も押しつけられて。かたい熱い先が苦しいくらいあたって押しあげるたびに、甘い気持ちよさは身体中を巡って痺れさせる。 「あ、ぁあっ、あっ……だ、めっ誓、ん、これ、だめ……っ」  爪先ぎゅって丸めて、あいだにある守屋の腰を太腿で挟んじゃうくらい……こらえてるのに。気持ちよくてたまらなくて、ワケわかんなくなりそうでこわいのに。もっとして欲しくて腰を揺らす。 「イケナイことしてる、って気がしません?」  スプリンが軋む音と混ざりあう荒い吐息で囁やく守屋は、俺の片足を上げて肩にかける。もっと奥まで捩じ込もうと屈んでくるし、近くなった太腿も痕になるくらいくちびるで吸いあげる。  もちろんそれも全部……きもちいいし、 「こんなの真尋さんじゃなかったら、殴るか刺すかしてますけど」 「ん、ぁ……んっンぅ」 「……スゲェ興奮する」  深く塞いで、浅く短く浮かせるキスの合間にそんなこと色っぽくエロく…… 「このまま意識飛ぶくらい……奥突きまくってヤリ殺したい」  真面目に本気でとにかくガチっぽく囁いてくる、から。 「――うぁあぁっ! ひ、へっ……変態ッ!」  身の危険も命の危険も覚えそうな睦言に、甘い雰囲気が吹っ飛ぶくらい必死に、覆い被さる守屋を押しのける。いや、もう……吹っ飛んでほしい! 「や、やだっ! もうこれぬ、がしてっ……いますぐっ脱がしてッ」 「恥ずかしい? けど、うれしいんでしょ?……なか締まるからバレてますよ」  なんて、そんなことにめげないし動じない守屋はまだ意地悪だし、 「はっ、あ、あっ……う、れしくないっやだ、なんか卑猥すぎ、るっ」 「マジ……すげーヤラシくてかわいい。俺、こういうの嫌いじゃないです」  嫌いじゃないどころか……絶対好きだろ! って、涙目で睨む。思えば今日はなんだかやたらじっくりゆっくり丁寧だった。まるで味わうみたいにたのしまれていたような、気がする。  こいつ、薄々思ってはいたけど…… 「しゅ、趣味悪すぎるっ」 「それは真尋さんもおなじでしょ?」  いつもとはちがう責め方で言ってみても、やっぱりあっさり返されるし。 「こんな、泣くほど恥ずかしい格好させられてんのに自分から腰振って脚絡めて、なかトロトロにしちゃうくらい……」  わざと恥ずかしい言葉を選んでくるし。 「俺のこと、好きで好きで……どうしようもないんですよね?」  自信満々に、たのしげに……でもうれしそうに言われるから。結局俺も、うれしくなっちゃうし。 「う、くっ……意地悪すぎ、るっ」 「何とでも言ってください、事実は変わりませんから」 「開き直んな!」 「だって、仕方ないと思いません?……俺は真尋さんのこと、」 「ひゃっ……うっ?……あ、えっ!?」  耳許で囁かれる、反則的な5文字を含んだ言葉まで繰り出されたら、もう勝てなくていいやって思っちゃうから。 「おまえ、ほんとズルい……」 「……真尋さんは?」 「うぅ、う……じゃあ、キス……して」 「……ズルいこと考えてるのどっちですか、俺ちゃんと聞きたいです」 「うぅっ……お……俺も、」  惚れた弱みの不可抗力を改めて――思い知らされる。 _Ex.7 Girl’s Style Decoration.

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