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第1話

* * * 僕の名前は、沖田悠也。 佐久良学園に通っている高校二年の男子学生だ。 部活は、サッカー部に入っている。 先輩やコーチも厳しいし、ほぼ毎日夜遅くまで練習しているけれど、それほど辛くはない。 何故なら、皆に内緒で交際している相手(先輩の一人)もサッカー部に所属しているからだ。 その人の名前は一条航といって、とにかく優しくてサッカーの技も他の先輩達とは違って丁寧に教えてくれるので僕は一条先輩に夢中なのだ。 皆の憧れである一条先輩が、どうして僕なんかと付き合っててくれるのを受け入れてくれているかは分からない。 先輩を大好きなことに嘘偽りはないのだけれど、僕は過去の出来高のことがあるし――そもそも先輩が、僕のどこに惹かれて付き合うことを選んでくれたのかも良く分かってはいない。 ただ、いつの間にか一条先輩とはこういう関係になっていた。 それでも、僕は今の状況に不満なんて一切ない。むしろ、皆が羨望の眼差しを向ける一条先輩と付き合えているのだから――とても満足しているとしか言いようがない。 僕としては、そう言いたいところなんだけれど、ここ最近妙に僕と一条先輩の関係を邪魔してくる奴がいる。 ____羽鳥 亮。 それが、そいつの名前だ。 羽鳥は僕よりも一学年下のサッカー部に所属しているマネージャーで、三年生である一条先輩に対しても割と馴れ馴れしく接してくる。 「航先輩、あの……タオルを、どうぞ!!」 「おっ……さすが羽鳥はマネージャーなだけあって気がきくな。これ、ありがとうな」 「いいえ、どういたしまして……航先輩!!」 和気あいあいと話している二人を見て、つい闘志を燃やしてしまった僕はいてもたってもいられずそっちへと近付こうとする。 その直後、突然誰かの手が肩にかかってきて僕を止めた。

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