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丞の熱情夜日記(3)
「だから俺だって、その……ああー、もう何度も同じコト言わせんなってば……!」
「あ、いやごめん。悪りィ。あのなあ、別にわざとじゃねえって! ほら、俺もするし、同じこと! 独りで処理っての? つーか、普通ヤるだろ育ち盛りの俺らみてーのは特に……さ?」
「だよな?」
暗闇の中で互いを見合わせながら、俺たちは同時に噴き出してしまった。
肩を寄せ合いながらゲラゲラ笑って、時折仁の髪が胸元をくすぐる――
何だか急に愛しくなって、きゅっと胸が摘まれるように熱いものがこみ上げて、俺は思わず仁を抱き締めた。
「な、仁さ?」
「ん? 何?」
「何、考えながらすんの?」
「何……って?」
「だから、お前が独りでするとき。何想像しながらすんのかなって」
「バッ……! バカッ、何言って……っ!」
仁は大慌てでそう怒鳴っては、すぐに頬を染めた。
こんな姿はたまらない、超愛しくて握り潰してしまいたくなるくらい――って、どっちにしろヤバイな、俺。
仁のこととなると、何でこんなに執着させられるっていうか、感情がワーッって溢れ出そうになるのか解らない。
良くも悪くも、どちらにせよ感情の起伏が激しくなるのは本当に不思議だ。
今はヤツを愛しみたくて堪らないっていう激情が俺の身体中を駆け巡ってる。
さっきまでの不安からくる加虐心とは正反対の感情だが、血が逆流するように激しい感じなのは変わらないんだ。
そんなふうにこみ上げる熱情のままに俺は訊いた。
「だって知りてえもん、お前の。俺はさ、当然だけどお前のコト考えながらすんだよな」
照れ隠しに気障っぽくそう言って、横目にヤツの様子を窺った。
「そ……んなのっ、俺だってそうだって! 同じ。お前のコト……考えながらに決まってんだろ」
仁の照れ隠しはふてくされたように唇を尖らせて真っ赤に染まった頬をプイと横へ向ける仕草、その様子があまりにも可愛いというか、可笑しくなって、俺は又プッと噴き出してしまった。
「ちっ! バカにしてやがる……。てめえで訊いてきたくせにっ!」
ぶすくれている頬も、何もかもが愛しい。
お前のすべてを包んで何処かへ隠しちまいてえくらいだよ。
そんな気持ちのままにそっとやさしく肩を抱き直しながら、仁の耳たぶに軽いキスを押し当てた。
「俺の――どんなこと考えながらする? こうやってビッタシ傍にいるときとか? それともフェラしてるとき? それとも本番、っつーか突っ込んでる最中とか?」
凝りもせず、俺は仁をからかい追い詰める。もっともっと困ったような可愛い表情が見たくなってしつこくしてみる。
案の定、
「しつけーよっ……! そんなんどーでもいいじゃん! ンな細けーこと覚えてねえーっつか……」
アタフタと頬染めながらも半分恨めしそうに益々口を尖らせるこいつが大好き――
仁、本当に好きで好きでたまらねえんだよ俺。
こんな気持ちになるなんて思わなかった。
だが仁は次の瞬間に、もっと俺の気持ちを煽るようなことを平気で口にしやがった。
照れてふてくされ、そっぽを向きながらも頬を染めてうつむいて、
「キス、してるときとか……かな?」
ボソリとそう言った。
「え――!?」
「だからっ、キスしてるときのこととか考えてるって言ったの! お前が初めてしてくれた……一緒に海行ったときの……風呂場でのこととか、考えながらすること多い」
僅かに言葉を震わせながらモソモソと髪を揺らして、俺の胸元に顔をうずめながらそんなことを言われたら正気でなんかいられねえよ――!
ただでさえ握り潰して食っちまいたいくらいだってのに。
俺はもう理性なんかじゃどうにもならないくらいに上気して、興奮してしまった。
気付けばデカイ枕の上へと仁を押し倒し、全身で覆いかぶさって、そして夢中でこいつの唇を奪っていた。
「……ちょっ、丞ーっ!」
いきなりの攻撃に慌ててる仕草もたまらねえ――
「好き。好きだぜ仁、お前のこと――どーしょーもねえくれー好き! 大好き……愛してる……」
愛してるぜ仁――
俺は夢中になって仁を抱き締めた。
さっきよりも、もっともっとしつこいキスをして、そうする内に又勃ち上がったアレを仁の腹に擦り付けて両手で髪をぐちゃぐちゃに掻き乱して――
「な、挿れてーよ、仁。もー俺、我慢限界……」
組み敷いた片方の脚をグイと持ち上げて無防備なところを探れば、ソコは既にしっとりと湿り気を帯びてもいて、気が急きながら指で弄ったらヒクヒクと震えてた。
確かカバンの中にローション持って来てたはずだと、そんな思いがぼんやりと脳裏をよぎったが、わざわざそれを引っ張り出してる余裕なんて無かった。
少し乱暴だが脚を持ち上げて仁の湿り始めたソコをベロベロと舐め回した。唾液でたっぷりと濡らして、こいつが辛くないように解して高めて――
そんなことを考えながらも頭は既に朦朧としてた。
早く突っ込みたくてたまらねえ――。早くこいつを俺のもんにしたくてどうしようもない。セックスするのが初めてってわけでもないのに、無性に興奮して収集がつかないくらい。
吐息が荒くなり、額には汗が滲み出て全身が熱くなって――
少し乱暴にされて、おそらくは既に漏れ出しているだろう仁の嬌声も聞こえないくらい、俺は取り憑かれたように欲情していた。
「仁、言って。俺のコレ、欲しいって言って? 俺のこと、好きって言って……! 挿れてくれって……言ってよ」
聞きたかった。
仁が俺を欲しがる言葉が聞きたい。
俺を求める言葉を――欲情にまみれた余裕のない掠れた声で言ってくれ!
お互いの瞳がとろけて全身が熱にうなされているようなのが分かった。
眼下には、汗で首筋に張り付いた仁の髪が色っぽくてどうにかなりそうだ。
「仁、まんま挿れていい? ゴム着ける余裕無えよ、俺……」
「……っ、バカ……そんなん訊くな……。お前がいーならそれで……って、うわっ……!」
「ごめん、限界。ちょっと痛てえかもだけど我慢な?」
「んっ、平……気ッ」
ああ、もうどうしょうもない。例えようがないくらいこいつが好きで、欲しくて堪らない。
俺はこみ上げる欲情と感情のままにのめり込み、滴る汗がポタポタと仁の髪の上に落ちるのだけを朦朧と見つめていた。
このままお前の内部 でイっていい?
そんなことしたら辛いのはお前なんだけど、本当はもっと大切に、とびきり丁寧に扱ってやりたいんだけどもうとめられそうもない。
思いっきり汚してお前の全身に俺を刻み付けてしまいたい。
誰が見てもお前は俺のもんだって分かる程に――!
ああ、俺やっぱヘンだ。
こんなこと考えるなんてアブナイ野郎だよな?
でも本当なんだ。自分じゃどうしようもないくらいお前が好きで堪らない。気が狂いそうなくらい――仁、お前が好き。大好き――!
仁――!
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