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ロブロイ ④

 目が覚めると、周囲は闇に包まれていた。 (俺は、いつの間にか寝ちまったのか……)  昨夜は結局何回したのか覚えていない。覚えているのは自分から積極的に腰を振りたくっいたことと、最後の方の記憶がないということだけだ。    理人は髪を掻き上げると全身の力を抜いてマットレスに沈む。同時に身体の右側が何かに当たっていることに気が付いてドキリとする。  まさかと思い、おそるおそる視線を向けるとそこには端正な顔立ちをした優男がすやすやと穏やかな寝息を立てて眠っていた。  やはり、整った顔をしている。濃く長い睫毛がくっきりと影を落としていて、人形みたいだ。  薄く開いた唇、枕に流れるサラリとした髪。顔だけ見れば物凄くタイプだった。  恐らく、男女関係なくモテるのだろう。そっと乱れた前髪を指先で整え寝顔をしばらく眺めていると、男が僅かに身じろいだ。  起こしてしまったのだろうか? と不安に思ったが、再び穏やかな寝息が聞こえて来てホッと胸を撫でおろす。  理人は短く息を吐くと男を起こさないようにそっとベッドを抜け出した。床に散らばっていた服を拾い集めていると内股を生暖かいものが伝い落ちていく。 「チッ……最悪じゃねぇか……っ」  理人は舌打ちをするとバスルームへ入り、シャワーを浴びながら後ろ手に指を這わせ中に吐き出されたものを掻き出した。 「くそ……っ、どんだけ出しやがったんだ……っ」  ふと、鏡に映る自分の姿を見て息を呑んだ。いつの間に付けられたのか、全身に赤い痕が残されている。 「あいつ、いつの間に……」  意識を手放す前に付けられた記憶は無かった。まるで、所有の徴を刻まれているような行為の意味が判らない。よく見てみれば太腿の内側にまで何か所も赤い痕が残されていた。  まぁいい。どうせ一晩だけの関係だ。もう二度と会うことも無いだろうし、スーツを着込んでしまえば誰にも気付かれはしないだろう。  ようやく後処理を終え、手早く着替えを済ませるとテーブルに1万円を置いて、男を起こさないようにそっと部屋を抜け出した。  その頃にはもう、朝靄の中にうっすらと光が差し込み始めていた。

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