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ギブソン ⑩

「へぇ、結構綺麗にしてるんですね……モデルハウスみたい。セキュリティもしっかりしてるし……凄い。高かったんじゃないですか?」  タクシーを降りてホテルのフロントのようなエントランスを抜け、エレベーターで自分の部屋へと向かう。  部屋に入るなり瀬名の第一声がコレだった。 「そこまでは無い。中古の1LDKだしな」  確かに一昨年建ったばかりのこのマンションは、都心に近く、リビングバルコニーからレインボーブリッジが望める絶好のロケーションが売りという分譲型高級マンションである。実際、理人自身も高層階に位置する自分の部屋から見える景色が気に入って即決で購入を決めた。 「……そんな事より……早く脱げ」  玄関で靴を脱ぎ、理人は待ちきれないとばかりにネクタイを緩める瀬名の腕を引いた。 「っ……もう我慢出来ないんですか? ほんっと好きだな」 「うるせぇ……、いいから、さっさとしろ」  理人は焦れるようにして、瀬名のベルトのバックルに手を掛け、ベッドに腰掛けるなり瀬名の下着とズボンを一気に引き下ろした。 「うわっ、大胆……」 「やっぱ、いつ見てもでけぇな……」  ごく、と喉を鳴らして躊躇いもなく瀬名のソレを口に含む。理人の赤い舌が根元から舐め上げて先端に吸い付くと、瀬名はビクリと身体を震わせた。  その反応に気を良くした理人は更に深くまで飲み込み、頬を窄めて激しく上下に扱き上げながらカリ首を丁寧に舌先でなぞる。 「理人さん、フェラするの上手すぎ……っ」 「ふんっ……気持ちいいんだろ?」  得意気な表情をして咥えたまま見上げると、瀬名は額を押さえてため息を吐いた。 「あー……、理人さんそれわざとやってるでしょ? あぁ、でも……その顔すっごいクる……っ」  瀬名は興奮した様子で理人の頭を両手で押さえつけると、そのまま腰を打ち付け始めた。 「んぐっ……んっ……んぅ……っ」  突然の事に驚いた理人は咄嵯に瀬名を押し返そうとするが、腰を抱え込まれていて離れられない。苦しさに生理的な涙が滲む。 「っ……くっ……、あー……やばい……これ……」 「んっ……、ぅぐっ……ふっ……っ」  苦しさに顔を歪めても、瀬名のモノが口から抜かれることは無く、頭を掴んだまま容赦なく喉の奥を突かれる。込み上げてくる吐き気を必死に堪えて、理人は歯を立てないように唇を窄めた。  苦しいけれど、頭を掴む瀬名の指先や熱っぽい視線にゾクゾクする。いつもとは違う、支配されているような感覚に理人は密かに悦びを感じていた。  もっと乱暴に扱われたい。滅茶苦茶に犯して欲しい。込み上げる吐き気と共にそんな欲望が頭を擡げてくる。 「はっ……理人さん、も、出そ……っ」 「っ……はぁっ……、いい……このまま、出せ……」  ラストスパートをかけるように、じゅぷっ、といやらしい水音を響かせ激しく抜き差しされる。理人が舌先で鈴口をぐりっ、と刺激してやると、瀬名は堪らず息を詰め、理人の頭を掴んで喉の奥に押し込むように熱い飛沫を放った。 「っ……、はぁ……はぁ……」 「んぐっ……んっ……はぁ……っ」  どくっ、どくっ、と断続的に吐き出された白濁を嚥下していくと、口の端から溢れ出たそれが胸元を伝って流れ落ちていく。 「んっ……、あ……っ」  その生暖かい感触にすら感じてしまい、理人はぶるりと身体を震わせて身悶えた。 「っ……、全部飲んだんですか?」 「はっ……たりめぇだろ……」  瀬名の言葉に、理人は眉間にシワを寄せて口元の精液を手で拭いながら答えた。その顔を見て、瀬名がごくりと唾を飲み込み、ほぅ、と息を吐きながら呟く。 「あぁ……顔射したい……」 「……っ変態か! てめぇは」 「理人さんがエロいのが悪いんですよ」  瀬名は理人をベッドに引き上げると、後ろ向きに膝立ちにさせ、上半身をシーツに沈ませる。そして、突き出させた尻を撫で回しながら、双丘を割り開いた。 「ひっ……あぁっ……!」  外気に曝された後孔がヒクついて収縮するのが自分でも分かる。恥ずかしくて思わず身を捩るが、瀬名にしっかりと腰を抑えられて逃れる事が出来なかった。 「ひくひくしてますよ……ここ。僕のしゃぶってるだけでこんなにしちゃったんですか? 本当にいやらしいな……慣らさなくても入りそうじゃないですか」  そう言うと、瀬名は未だ欲が収まらない楔を窄まりにぴたりと押し当てた。期待で理人の腰が揺れる。理人は無意識のうちに、物足りないとばかりに自ら後孔を押し付けていた。それを見ていた瀬名は小さく笑うと、そのまま挿入せず、先端で入り口を刺激するだけに留める。  ちゅぽっ、ぬちっ……。焦らすように何度も後孔から会陰までを行き来する熱塊にもどかしさを覚えていると、不意に瀬名の指先が後孔に触れ、縁をなぞるように触れてきた。 「んっ……! あ……、んんッ、なぁ、も、早く……」  強請るように腰を揺らしながら振り返り、瀬名を潤んだ瞳で見つめる。しかし、瀬名はそんな理人を見下ろして薄く笑みを浮かべただけだった。

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