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キール ⑤
「……わかった……特別に……てやる……っ」
「えっ?」
「だから、その……アレだよ……っ」
理人は頬を染めながら、上掛けを捲り瀬名の病衣の隙間からするりと手を滑り込ませる。
「……っ」
「お前はじっとしていろ……」
理人はそう言って起き上がると瀬名のズボンに手をかける。まさかの展開に瀬名は戸惑いを隠せない様子だったが、病衣のゴムをずらし前を寛げるとすっかり張り詰めたものが飛び出して来て思わず生唾を飲み込んだ。
「やっぱ、でけぇ……」
落ちて来る前髪を耳に掛け、すっかり臨戦態勢になっているそれに唇を寄せる。先端を口に咥え舌先で弄ってやるとそれだけで先走りの液がとろりと溢れてくる。
「……っ……は、……理人さん……っ」
「ん……っふ、……ん……」
頭を撫でる瀬名の手が心地よくて、喉の奥までいっぱいに満たす。喉の奥を突き上げるような圧迫感にえずきそうになりながらも必死に舐めて吸い付くと、口の中でググッと質量が増した。
「あーやば……、凄く、気持ちいい……」
「ふ……っん、……ぅ……っ」
もっと気持ち良くなって欲しくて根元の方まで口に含む。裏筋から丁寧に舐め上げればビクビクと脈打つのが分かった。
「もうガッチガチじゃねぇか……そんなにいいのか?」
ちゅぷっと音をたてて口を離すと瀬名の顔を見上げて意地悪く笑う。
瀬名はその表情にゴクリと喉を鳴らすと余裕なさげに眉根を寄せた。
「当たり前じゃないですか……こんなの、もう……っ我慢なんて、出来ない――っ」
「?――っ、あ……っ」
次の瞬間、瀬名は理人の後頭部を掴むとグッと押さえ込まれた。
「ぐっ、……っん、んん~っ!」
いきなりの事で対処できず、理人はされるがままに瀬名のものを根元まで押し込まれた。苦しいのに、口腔内の粘膜を擦られる度に甘い疼きが身体を支配して行く。
「っ……は、理人さんの、口の中堪らない……っやば、こんなの、すぐ出そ……っ」
口いっぱいに頬張ってるせいで上手く喋れない。しかし瀬名はそんな事お構いなしに、理人の頭を激しく揺さぶってきた。喉奥を突かれる度に嘔吐感が込み上げてきて頭の芯がクラクラする。
「っ、ふ……ん、んんっ」
しかし、苦しくなればなるほど、恍惚とした快感を覚えた。熱を帯びた声で名前を呼ばれる度、身体がどんどん熱くなっていくのが分かる。口腔内がまるで性感帯になったかのように感じてしまい下半身がズクズクと疼いた。
「はぁ……んむ……っ……ふ……ぅ……」
上顎を突かれるたびに下腹部が甘く痺れる。口の端からはだらだらと唾液が零れ、シーツを濡らしまいそれが余計に興奮を煽った。早く……、早く欲しい。喉の奥に熱い飛沫を叩きつけて欲しい。そんな事ばかりが頭を埋め尽くしていく。
「は、ぁ理人、さん……っ、もう、出そ……っ」
くっと息を詰め、はぁと熱い息を吐きだす。あと少しで達しそう……そう思った、その瞬間――。
「やっほー、瀬名君。お見舞いに来てやったわよ~」
ガラリと開く扉の音と共に、能天気な声が室内に響き渡った。
「「っ!?」」
慌てて身体を離し、布団を被せ、理人は誤魔化すように口元に手を当てながら窓の外に視線を移した。
「あら? 事故に遭ったって聞いてたから結構心配してたんだけど随分元気そうね」
そう言って、顔を覗き込んで来るのは病院のお見舞いには場違いな派手目の服を着たナオミ。それと、カジュアルないで立ちをした湊だった。
「……てめぇら……部屋に入るときはノック位しろ!」
理人は咳払いをすると、わざとらしく不機嫌そうな声色で文句を言う。
その様子を見て、湊は何か想うところがあったのかにやりと口角を上げ、理人に近づくとそっと耳元に唇を寄せた。
「も~、ダメですよ理人さん。来たのが僕らだったから良かったものの……気を付けないと……。たった今までエッチな事してましたって、顔に書いてありますよ?」
「…ッ……!」
何を言われたのか理解するのに数秒を要したが、理解した瞬間、まさにボッと音がしそうな勢いで赤面した。
「ふはっ、理人さん顔やば……っ真っ赤になっちゃって可愛い~」
「なっ……ち、違っ……っ」
「照れなくてもいいのに」
瀬名は、中途半端な状態で寸止めされて不機嫌さを滲みだしているし、にやにやと笑う二人の視線が居た堪れない。
不意に、尻に入れていたスマホが着信を告げた。 渡りに船とばかりに確認すればそれは、東雲からの電話だった――。
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