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ブルドック ⑪
「~~っ、もー……、ほんっと何なんですかっ」
「う、わ……っ、くそ、離せ馬鹿っ!」
突然瀬名に押し倒され、理人は慌てて上体を起こそうとするが、それを瀬名は制するように両手を強い力で押さえつけると強引に唇を重ねてきた。
「んぅ……っふ、……っんん」
貪るような激しいキスに息苦しさを感じて僅かに口を開けば舌を差し込まれ口内を犯される。口の端からは唾液が零れ落ち、瀬名の指先がそれを拭ったかと思えば今度は首筋に吸い付かれた。
「んぁッ、やめろ馬鹿ッ」
「無理……だって、誘ったのは理人さんでしょう?」
「はぁ!? さ、誘ってねぇ!お前が勝手に……ッ」
瀬名の胸を押し返そうと抵抗するが、まるで効いていない。それどころか瀬名は嬉しそうに口元を緩めると理人の耳に舌を這わせ始めた。
「あ……ふ、……っんん、ばか、何考えて……」
「……嫌なら本気で抵抗してくださいよ」
「――っ」
耳元で囁かれ、ゾクリと肌が粟立つ。
そんな理人の反応を楽しむように瀬名は耳の縁に噛みつき、耳の裏に吸い付いた。
「ン……は……っ」
ちゅぱ……と音を立てて耳から唇を離すと、そのままゆっくりと下降させていき頬に軽いリップ音を立てながら何度もキスを繰り返す。
やがて瀬名はシャツを捲り上げ、露になった乳首にむしゃぶりついた。
「ひぁ……っあぁっ」
片方は舌先で転がすようにして舐められ、もう片方は指で摘ままれる。その間も瀬名は空いた手で脇腹や背中などを撫で回した。
「あ……っあ、だめ……っ、こんなとこで……ここ、外だぞ! 誰かに見られたら……」
「今更何を……さっき僕を襲っていやらしく腰振ってたの何処の誰でしたっけ?」
それを言われたらぐうの音も出ない。
グッと、押し黙った理人を見て、瀬名はクスリと笑って身体を離した。
「ふふ、冗談です……」
「えっ?」
「最初に言ったでしょう? 組み敷かれるのは趣味じゃないって。……だから、さっきのお返しです」
「んな……っ!?」
「だから、続きは……理人さんの部屋で……ね?」
耳元に唇を寄せながら艶のある声で囁かれ鼓膜を震わせる吐息に思わず身体がビクつく。
「……ッ、なんで、俺のマンションに帰る気でいるんだよ馬鹿っ!送ってやるから自分の家に帰れ!」
「えーっ、酷いな。今夜は一晩中ヤり倒すつもりだったのに」
「病み上がりが何言ってんだ馬鹿」
「入院中、理人さんが足りなかったんです。だから、沢山……充電させてください」
いうが早いか、顎を掴まれ深く口付けられた。しっとりと唇を吸われ、熱い舌先が歯列をなぞる。
「ん……ふ、ほどほどにしておけ。ヤリすぎて仕事に支障が出たら困るからな」
理人は応えるように自らも舌を絡めると瀬名の背中にそっと腕を回し自ら身体を密着させ、車内はまた、二人の甘い熱に満たされていった。
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