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デニッシュメアリ― ⑨

(あ”-腰が痛てぇ……)  気怠い身体をベッドに横たえ、ぐったりとして枕に顔を埋める。ひやりとした感触が心地よく、思わず頬を擦り寄せた。 「理人さん大丈夫ですか?」 「……無理だ。今日は一歩も動けん……」 「だから言ったじゃないですか……」  ベッドに腰掛けて、そっと頭を撫でながら瀬名が呆れたように呟く。 「……まさかあんなに激しくされるなんて思ってなかったんだよ」 「理人さんが煽るからでしょ」 「俺は煽ったつもりはないぞ。ただ、ちょっと挑発してやっただけだ」 「それが煽ってるって言うんですよ」  瀬名はそう言って苦笑いを浮かべると、理人にチュッとキスを落とした。  あの後、何度も何度も互いを貪り、気を失うように眠って、目が覚めたらまた……という感じで結局明け方近くまで瀬名と抱き合っていた。流石にこれ以上は体力的に厳しいと理人がギブアップ宣言をして今に至る。 「ったく、若い奴はこれだから困る」 「何おやじ臭い事言ってるんですか。理人さんがエロ過ぎるのがいけないんですってば……」  瀬名は理人の隣に身を滑り込ませると、理人の肩を抱き寄せるようにして引き寄せてきた。肩口に唇が当たってくすぐったい。 「理人さんの匂い……落ち着く」 「……なんだそりゃ」 「良い匂いって意味ですよ」  瀬名はそう言うと、すり寄るように理人の首筋に鼻を押し付けて来た。まるで大型犬がじゃれついてくるような仕草に、思わず理人の口から笑いが漏れる。 「ふはっ、くすぐったいっつの」 「理人さんの身体、凄く綺麗ですよね。肌は白くてスベスベだし、細いのに筋肉はしっかりついてて、腹筋なんて凄いバッキバキに割れてるくせに腰はキュって締まってて」 「ん……っ」  瀬名の手がするりと脇腹を撫でてくる。その動きに思わず息が洩れ、瀬名は理人の顔を見ると悪戯っぽく微笑んだ。 「あれ? もしかして、感じちゃいました?」  瀬名の問いに素直に答えるのは恥ずかしくて、黙れという意味を込めて思い切り睨みつけてやる。けれど、瀬名は楽しげな様子で更に身体を密着させてきて、脇腹から手を滑らせると胸の突起に触れた。  昨晩散々弄られたそこは未だにジンと熱を持っていて、軽く触れられただけで甘い疼きを感じる。 「馬鹿言うな、辞めろっ」 「辞めていいんですか? 本当はもっとして欲しいんじゃないの? 乳首硬くなってる」 「……っ、やめろってば……ッ」 「ほら、こうやって摘まんでグリグリされると気持ちいいんでしょう? こうされるの好きですもんね?」  親指と人差し指できゅっと摘ままれて、そのままクリクリと捏ねられる。同時にもう片方は舌先で転がすように舐められて、甘い痺れに身体の奥底で燻っていた火が再び燃え上がった。 「ん……っ、ぁ、んんっ」 「ほら、やっぱり。理人さんここ舐められたり吸われたりするの好きですよね? すっごいビクビクしてる」  情欲に濡れた瞳がジッと理人を見つめながら、突起を甘噛みしてくる。 「う、るせ……っ」 「声、抑えなくていいのに」 「誰がっ、んん……っ」  必死に堪えているのに、瀬名はわざとらしく音をたてて吸い付いてくる。 「はぁ……理人さん可愛い。ねぇ、理人さん。僕、ずっと考えてた事があるんですけど…」  こういう時の瀬名は大抵ロクな事を言わない。嫌な予感がして思わず眉間に深い皺が寄った。 「な、なんだよ……」  馬鹿な事を言ったら速攻で頭を叩いてやる。そう、思っていたのに、瀬名の口から飛び出したのは想像もしていなかった言葉で――。

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