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ムーランルージュ ⑭

 それから数十分が経過したころ、理人は自分の身体の異変に気が付いた。  何だかさっきから身体が火照って仕方がない。ドキドキと鼓動が早くなって、呼吸も少し乱れているような気がする。 「ふは、やっと効いてきたか?」  そんな理人の様子を見て一臣が満足げに笑った。 「お前っ、一体なにを!?」  キッと睨み付けると、一臣はにやりと意地の悪い笑みを湛えたまま理人の横に置いてあるコーヒーの空き缶をクルクルと指で弄びながらゆっくりと顔を近づけて来る。 「何って? ちょっとばかしエッチな気分になれるお薬を……な?」  耳に息を吹きかけながらねっとりと低い声で耳元に囁かれゾワゾワと背筋に悪寒が走る。咄嵯に一臣を突き飛ばそうとするが、腕を掴まれ逆に押し倒されてしまった。  ガタンッ、と派手な音を立てて椅子が倒れ静かなオフィス内に響きわたる。 抵抗しようと振り上げた拳は簡単に一臣の手によって押さえつけられてしまい、薬で痺れた身体は思うように動いてくれない。 「おいっ、離せっ!」  キッと睨んでみても効果は無く、それどころか余計興奮したのか嗜虐的な笑みを浮かべながら器用にネクタイを外すと両手をひとくくりに縛り上げられてしまう。 「いいな、その顔……啼かせたくなる」 「なっ、おまっ……」  抗議の声を上げようとするが、唇を奪われそうになり慌てて顔を背けた。すると、いきなり耳の中に熱い舌が侵入してきてピチャリと卑猥な水音がダイレクトに脳に直接響き渡る。 「ひっ、んぅ……は、なせっ!」  身を捩り、必死に抵抗しようとするが首を振って逃れようとしても頭を抑えつけられ、思う存分熱く濡れた舌で蹂躙される。 「あ……っ、ん……っやめっ」 「はは、耳弱いのかよ」  一臣の声がかすかに熱を帯びた。くちゅくちゅと耳の中を舐められ、ダイレクトに響く水音がいやらしくて堪らない。時折耳たぶを甘く噛まれるとそれだけで否応なしにビクビクと身体が震えてしまう。 「はぁ……は……止めろ、ばかっ」  生理的に潤んでしまった瞳で睨み付けても効果は薄く、首筋を指でなぞられただけでも甘い痺れが腰にクる。 「いいねぇ、その怒った顔…すげぇそそられる」  ぺろりと赤い舌を出して一臣は愉快そうな笑い声を上げる。そのままシャツのボタンに手を掛けられ少しずつ露になっていく肌に熱い手の平が触れた。 「っ……」 「あれ、乳首もう勃てんじゃん。へぇ、感じやすいんだなぁ」  揶揄するような言葉にカッと頬が赤くなった。そのまま胸の飾りを指で弄られ、思わず「ひゃう……」なんて可愛らしい声が漏れてしまい羞恥で死にそうになった。 「いい声出せるんじゃねぇか……なぁ、もっと聞かせてくれよ」 「く、いやに決まってんだろっ」  楽しそうに言われ、悔しくて歯噛みするが、どうしようもない。 「ふは、すげーえろい腰使いだな。乳首がそんなに気持ちいいんだ? 指で弄るたびに身体揺れてんぞ。 それにほら、こっちは触ってもいないのに完勃ちじゃねぇか」  一臣はクスリと笑って、スラックス越しに性器を撫で上げられる。 「あぁっ、やぁ触んな……クソが……っ」  布ごしとはいえ、一番敏感な場所を擦られてじわりと下着が湿っていくのが分かった。いくら薬を盛られたとはいえ簡単に反応してしまう身体が恨めしい。 「いや、じゃないだろ? ちゃんと言ってみろよ。気持ちいいってさぁ」 「……くそ、誰が……そんな事……っ」 「強情だなぁ、つか、その理性がいつまで持つかな?」  クックックと笑いながら、一臣はベルトを緩めると一気にスラックスを引き下ろした。 「やめっ、見るな、馬鹿ッ離せ……クソッ」  恥ずかしさに足を閉じようとしたが、あっさりと膝を割られてしまう。 「はは、すげーぐしょぐしょ。先走りが糸引いてるぞ」 「黙れ、死ね! 殺す、絶対ぶっ殺してやる!!」 「はは、そんな蕩けきった顔で凄まれたって怖くねぇっての。乳首もココもビンビンにして、説得力ねぇよ?」  ピンっと立ち上がった二つの突起を同時に弾かれると、ビリリッと電流が走ったような感覚に襲われる。 「あっ、あああっ」 「おい、今軽くイッただろ」 「は、はぁ……は、知ら、ねぇっ」 「素直じゃねぇな。ま、そういうところも嫌いじゃないけど」  言いながら今度は胸にしゃぶりつかれて、強く吸われる。 「ふぁ、だめ、そこ、やめ……っ」 「駄目って言いつつ、またイキそうじゃねぇか? 乳首だけでイけんじゃね?」 「はぁ、言うなぁ、ばかぁ……ぁ、ぁあっ!!」  執拗に胸ばかりを責め立てられて思考回路がショート寸前になる。だがしかし、絶頂に達する直前で一臣の手の動きは止められてしまった。

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