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キャロル⑧

瀬名がその口の中にチョコを入れる。  口内に広がったのは蕩けるような甘味だった。思っていたよりもずっと甘くて、思っていたよりも優しい味に驚く。 媚薬入りだと言われていなければ2個、3個とうっかり口に入れてしまっていたかもしれない。というより実は媚薬などではなく、ただのチョコレートだったんじゃないだろうか?   きっとそうだ、そうに違いない。全く、人を散々ドキドキさせておいて瀬名も人が悪い。 「美味いな……もう一個食ってもいいか?」 「えっ?二個も食べちゃうんですか? まぁ、僕は構いませんけど……」 「媚薬だなんだって期待させやがって……全然普通のチョコレートじゃねぇか!」 「おかしいな。そんなはずないんだけど……って言うか、理人さんなんだかんだ言いながら期待しちゃってたんだ」  しまったと思った時には既に遅く、にやにやと笑いながら瀬名がもう一つの封を開けチョコを差し出してくる。 「理人さん虐められるの好きだもんねぇ?」  瀬名の意地の悪い笑みに羞恥がこみ上げてくる。なんだか居た堪れなくなってチョコを強引に奪うと口の中に放り込んでそのままそっぽを向いた。 「べ、別に好きじゃねぇし。変な事言うな馬鹿ッ」 「あはは、そうなんですか? でも、こうやって乳首摘まむと……」  言いながら、脇の下から伸びて来た手が胸の飾りをきゅっと摘まんだ。そのまま円を描くように指の腹で撫でたり押し潰したりされると自然と息が上がってしまう。 「んんっ……あっ……馬鹿、触んな……」 「ほら、すぐに固くなって来た。理人さんは本当に感じやすいですよね」 「っ、うるさ……っ」  瀬名は楽しそうに指先で突起を弾くと、摘まんだままクリクリと捏ね始めた。先程弄られたせいだろうか、いつも以上に感じてしまい、無意識のうちに瀬名に胸を押し付けるように背を反らせていた。 「んっ、ん……ぁ……っ」 「理人さん、おっぱい弄られて気持ちいいの?  腰動いてますよ」 「っ、うるせ……ッ、言うな馬鹿っ」 「ふふ、可愛い」  瀬名は理人の身体を抱き寄せるようにして覆い被さると背後から両手を伸ばして両方の突起を同時に弄び始める。 「んぁっ……やめ、両方弄るな、ぁっ」 「どうして? こうされるの大好きなクセに」 「――っ」  瀬名の言葉に反論しようと口を開きかけたその時――。  胸の突起を爪で引っ掻かれピリリッと身体に電流のようなものが流れた。 「ッ、ああッ!?」 「お? どうしました?」 「な、なんか……、今、身体が……」  ビクビクと身体が痙攣する。瀬名の手の動きに合わせて、全身が熱を帯びていくのがわかる。これは、もしかして……。 「っ、はぁ……んんっ……っ」 「理人さん、顔真っ赤だよ? もしかして、媚薬効いて来ました?」 「っ、んんっ……しらね……でも、なんかいつもより……っ」  身体が熱くて仕方がない。瀬名の指で弄られた箇所がジンジンと痺れて、まるでそこだけが別の生き物になったみたいに疼いている。 「理人さんのココもすごいことになってる」  瀬名は理人の中心に手を伸ばすと既に熱を持って固く張り詰めているそれをやんわりと撫でた。 「っ、や……」 「あーあ、もうこんなにしちゃって……。乳首弄ってるだけなのにもう、グッチョグチョ。いやらしい先走りが溢れてますよ」 「っ、言うな……馬鹿ぁ、ぁあ!」  恥ずかしさから顔を逸らすと、瀬名はクスリと笑って耳元に唇を寄せた。その間も胸を弄る手は休まることなく動き続けていて、理人の口から堪えきれない嬌声が洩れて来る。 「っ、はぁ……ぁっ……やめっ、そこダメ、だ……ぁあっ!」  理性とは裏腹に腰は更なる快楽を求めて揺れ動いていた。先端からは止め処なく蜜が零れていてシーツをぐっしょりと濡らして行く。 「ダメ? イイの間違いじゃないんですか? 触ってないのにココ、今にもイっちゃいそうになってるじゃないですか」  ツンと先端を弾かれ、そんな刺激にすら身体が勝手に反応してしまう。 「っ、あぁっ!」 「理人さん、乳首だけでイくとこ見せて欲しいな」 「なっ、は……っ見るな! 馬鹿っ変態っ」 「イきたくないの? 仕方がないなぁ……」  瀬名は溜息をつくと、理人の耳元に唇を寄せて吐息を吹きかけた。 「っ、ぅあ!?」 「理人さんは耳も弱いですもんね、好きでしょ、此処」  瀬名はそう言って耳の縁を唇で挟み舌で耳の裏をなぞって来た。  同時に胸への愛撫も再開され、耳と胸の両方から与えられる快感にぞわぞわと鳥肌が立つ。 「っ、違……ッ、やめ……っ」 「ふふ、本当に止めていいの? こんなに気持ちよさそうにしてるのに」 「っ、あ……くぅ……っ」  瀬名の舌先が耳の穴に捩じ込まれる。鼓膜に直接響く淫靡な水音に頭の中まで犯されているような錯覚に陥り、気が付けば自ら瀬名にもっとと強請るように胸を押し付けてしまっていた。  もっと、もっと欲しい。もっと滅茶苦茶にして欲しい。そんな淫らな思いが頭を擡げ、身体の奥底から沸々と欲望が高まって行くのを感じる。 「理人さん、わかってます? 自分で僕に胸押し付けて来て……本当にいやらしくて可愛い」  瀬名は耳元で囁きながら耳の中をぞろりと舐めた。同時に胸の先端を強く摘まれてしまえばもう我慢できなかった。 「っ、や……も、無理ぃ……っあ、ぁだめ、……イきそ……あ、ぁあ出るっ」  視界がスパークして頭が真っ白になる。今にも達しそうになったその瞬間――。 瀬名はピタリと愛撫の手を止めてしまった。

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