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第3話

「ありがとうございましたー」 背後からの爽やかイケメン店員の挨拶に、思わず、心の中で、こちらこそありがとうございましたー、と応え、愛しのバイブと必要不可欠なローションの入った紙袋を胸に抱き... 「ああ....楽しみ」 めっちゃウキウキ、わくわく。 自然と蕩けそうな笑みが零れる。 「ああ、君、いいバイブは見つかった?」 ドキッとして振り向くと、先程のスーツ姿の紳士が同じく紙袋を小脇に笑顔を浮かべていた。 「あ、はい。アドバイスありがとうございました、助かりました」 「いや、別に構わないよ。バイブ初めてだって言っていたもんね、お役に立てて良かったよ」 「はい....」 は、と我に返る。 「あ、えっと、か、彼女へのプ、プレゼントで」 「へえ、彼女への?」 「は、はい....」 「ローションまで?女性は濡れる筈なのにね?何故?」 何故....言葉に詰まる。 女性といたした事がないので詳しくわからないけど、確かに女性は濡れるとは聞く。 「さ、さあ、なんででしょうね、あはは」 ヤバい、さっさと車に乗り込んで、帰宅して使お! 「安心して、お仲間だから。ほら」 男性の声に振り返ると、紳士は紙袋からゲイビらしきDVDと俺も知ってる、というか、購入しているゲイ雑誌を紙袋から覗かせて見せた。 「お尻が寂しいのかな?」 う、と再び、言葉に詰まる....。 「良かったら一緒にこのDVDを観ない?新作らしいんだ。君は勝手にそのバイブを使ったらいいし」 ごく、と喉を鳴らした。 この凛々しい紳士とゲイビ鑑賞.... いいのか、俺。 経験人数、元彼が1人な俺....。 こんな出会い....ラッキーなのか? 「大丈夫、怖がることはしないよ」 優しい笑みにきゅんとした俺は、言われるがまま、紳士の車の後を追い、車を走らせた。 着いた先は、分譲だろう、と思わせる、高層マンション。 暫し立ち尽くしていると、先に着いていた紳士が俺の肩を抱いた。 「さ、お互いにスッキリしよう」 「....はい!」 エントランスを抜け、二人でエレベーターに乗り込む。 だだっ広いエレベーターの中で、紳士に手を引かれ、抱き締められた。唖然として顔を上げると唇を奪われる。 舌遣い、上手すぎる...! 舌の絡ませ具合、しきりに音を立てる辺りだとか、絶妙すぎて、気持ちよさと興奮とで足元が崩れそう.... 俺しか経験のなかった洋介とのテクの差はうんでんの差、なんだろうな....。

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