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第7話

俺の一言に硬直してしまった隼一から慌てて視線を試食のパスタに落とす。 「いや、俺は好きだよ、このパスタ。レモンの酸味が夏にぴったりだと思うし、アボカドの甘みも効いてるけど、ツナの風味もあるから、アボカドが苦手な人も食べやすいんじゃないかな」 フォークにパスタを絡ませながら、率直な感想を述べると、隼一は安堵した様子。 少し切なくなった。 「そっか、びっくりした、読み取られたかと思った」 「....え?」 思わず、パスタから視線を上げ、隼一を見たが、隼一はすぐに視線を逸らした。 「あ、ごめん。そろそろバイト戻るから」 「あ、うん....」 瞬きを繰り返しながら、フロアに戻る、隼一の後ろ姿を見送った。 「....読み取られた?」 小首を傾げ、再び、フォークに巻き付けたパスタに視線を落とす。 暫く、笑顔でフロアを往来する隼一の姿を眺めた。 「....試食が終わったら帰っていい、て最初に言われたけど....タダ飯食いみたいで、なんかな....」 せめて、何か注文しよう、とメニューに目を走らせた。 見た目が綺麗なオリジナルのノンアルのカクテルとチーズとクラッカー、皮付きのポテトフライを注文し、暫し、一人で寛いだ。 淡い三色が重なったカクテルは見た目も綺麗だけど、細い二本のストローを使い、啜ると、程よい甘さでとても美味しかった。 ポテトフライも、皮付きで大きめなカットで食べ応えも抜群。 「....まだ帰って無かったの?灯真」 一人、堪能していると、私服の隼一が驚き眼で俺を見下ろしていた。 「あ、ご、ごめん。つい、長居して....」 「ううん、てっきり帰ってると思ったから...どう?味だとか」 「最高に美味いし、最高に満足」 ポテトフライを摘んだまま、思わず、笑みを零すと、隼一も笑顔になった。 「俺にも一つちょうだい」 正面に座ったポテトフライの入った籠に隼一が手を伸ばす。 「皮付き、ていいね。好き」 「わかる。俺も」 顔を見合わせ、笑った。

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