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第16話

「味噌汁やサラダは抜きでね」 「メインで対決か、てか、どっちも美味そうだな」 隼一は鶏の照り焼き、俺はチキン南蛮。 俺達より先に、明文に食べて貰うことにした。 「....んー、甲乙つけがたいんだが、どっちも普通に美味いしさ」 どれどれ、と、俺と隼一も、箸を伸ばす。 「あ!美味しい...このタルタルソースも手作り?美味い」 「タルタルソースの作り方、わかる?」 「卵とマヨ?」 「...知ってんじゃん。照り焼きも美味いね、ビールも合いそう、なんて、飲めないけど、ノンアルしか」 ち、と、突然、明文が舌打ちを打った。 「ったく、見せつけんなよ、あー、お前が振られたら、隼一。隼一が振られたらお前を口説く予定が....」 隼一が、ははは、と笑う。 「や、こいつ、本気だから、隼一」 「まさか、無い無い」 隼一は手で風を払い、再び、チキン南蛮に箸を伸ばす。 「な、灯真。隼一、自分がイケてる、て気づいて無いみたいだし、鈍感っぽいから、気をつけろよ、俺が寝取る」 ぶ、と吹き出した。 「お前に気をつけるのかよ」 「ま、冗談だけど。お前ら見てたら、俺も恋愛したくなったわー。...飯食ったら、久々、クラブでも行くかな」 「クラブねえ」 「お前らはどうすんの?」 思わず、俺と隼一は顔を見合わせた。 「どう、て....」 「聞いた俺が野暮だったな、両者引き分け!どっちも美味い!以上!」 ガツガツと飯をかき込み、明文が席を立った。 「じゃ、無下に俺をもう呼ぶなよ?俺だって多忙なんだからさ」 「あー、はいはい」 そうして、明文を送り出した。 「....やっぱ、いい奴だな、明文って」 「....そう?タイプとか言うなよ?今更」 「それは無いよ」 そう隼一が笑ったが、明文が盛大なくしゃみしてそうな予感がした。

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